インターネット上でライブ配信する個人に、視聴者が課金アイテムを提供する「投げ銭」。舞台となるのは大小さまざまなライブ配信サービスで、その市場規模はこの10年で3倍近くに成長している。今回は世界中で人気と話題を集めるライブ配信と投げ銭について、過去記事から振り返る。

急速に拡大する現代版の「投げ銭」

 古くは「路上の大道芸人などに金銭を投げ与える」ことを指してきた「投げ銭」という言葉。現代においては、インターネットを利用した個人(ライバー)のライブ配信に対し、視聴者が課金アイテムなどを提供する行為を意味している。

 「現代版の投げ銭」の舞台となっているのは、YouTubeなどの大手サービスから小規模な新興サービスまでさまざまだ。2010年ごろまでは1000億円に満たない市場規模だったが、その後急速に拡大し、2019年には2770億円に達している(一般財団法人デジタルコンテンツ協会「動画配信市場調査レポート2020」より)。新型コロナの影響もあり、この傾向は今後ますます拡大すると予想される。

 「投げ銭」された課金アイテムは、換金することでライバーの収入になる。また投げ銭によって視聴者の反応をダイレクトに感じられることは、ライバーにとって大きなモチベーションになっている。視聴者にとっても、気に入ったライバーを直接応援している実感が得られる点が人気の秘密だ。

 この記事ではライブ配信や投げ銭に関連する話題を、過去記事から紹介していく。

世界で広がる現金離れ

 ライブ配信市場が盛り上がる背景には、近年加速する「現金離れ」の影響が大きい。日本でも2010年前後から注目を集め始めた「ビットコイン」をはじめ、中国企業が普及させた「2次元バーコード(QRコード)」による決済サービスなど、いまやインターネットとスマホが現金の代わりとなりつつある。

 実際、この分野の先進国ともいえる中国では路上パフォーマーへの「投げ銭」もQRコード経由で行われているという。

自分の「好き」が仕事になる近未来

 一方で、インターネット上はさまざまなサービスが発達している。ゲームプレーヤー同士が競い合う「eスポーツ」、「Vチューバー」たちによるパフォーマンスなどもその一部だ。

 Vチューバーやユーチューバーによるパフォーマンスはライブで配信され、視聴者が「投げ銭」として彼らに金銭を支払うシステムだ。インターネットサービスの発達が、個人の趣味を収入に変える時代を生み出そうとしている。

中国eスポーツに年収数億円のゲームキャスター

 実際、すでにライブ配信による収入は「副業」の域を超えている。

 たとえば2017年末の時点でオンラインゲームユーザー数が4億4161万人を数える中国のeスポーツ市場。そこでは「遊戯主播(ゲームキャスター)」と呼ばれるライブ解説者が、視聴者からの投げ銭で年間数千万元(数億円)を稼ぐという。

 オンライン決済とeスポーツ(あるいはライブ配信)市場にあるのは明るい話題ばかりではないが、その影響力は強まる一方だ。この先、国による規制の対象となるのか、それとも「レジャー消費拡大」の一環としてさらに拡大を続けるのか、注目を浴びている。

「ライブ配信」に救われる人々

 日本でも、ライブ配信によって収入を得る人々が増えてきた。それらの人たちは「ライバー」と呼ばれ、すでに職業として認知されつつある。

 2019年の時点で、ライブ配信に利用されるサービスは、DeNA傘下のSHOWROOM、台湾の17 Liveなどが中心だ。国内市場全体の規模は2018年7~9月期で約51億2100万円に達し、9カ月前と比べて92%も拡大したという。

 投げ銭が収入になるライバーは、一種の芸能人といえる。しかし多くのライブ配信サービスでは事務所に所属することなく、スマホさえあれば誰でも配信可能だ。もちろん事務所による「中間マージンのピンはね」は発生しない。 17Liveでは「月収が1000万円を超えるライバーもいる」という。

最後に

 現金離れとインターネットの発達によって生まれたライブ配信と「投げ銭」。その歴史は浅いものの、市場規模の拡大は急速だ。すでに日本でも「ライバー」が新たな職業として認知されつつあるという。誰でも自分の「好き」を収入に変えられる世界が、すでに始まっている。

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