希少な商品を買い占め、転売する「転売ヤー」。新型コロナの感染拡大期にはマスクや消毒液を常識はずれの金額で転売する人も現れるなど、大きな混乱と批判を招いている。ここでは転売ヤーに関連する過去記事から、国内外の一連の動きを紹介する。

社会的な騒動を招いた「転売ヤー」

 「転売ヤー」とは主にインターネット上で転売行為を行う人を指すネットスラングで、転売屋をもじったものとも、転売とバイヤーを掛け合わせた造語ともいわれる。限定商品や品薄な商品を買い占めて高額転売する「迷惑行為」を行う人も多いことから、一般に転売ヤーという言葉には否定的なニュアンスが伴う。

 転売ヤーが近年特に注目を浴びた大きな原因としては、新型コロナ感染拡大による「マスク不足」「消毒液不足」に便乗した買い占め・転売行為がある。各地でマスクをはじめとする衛生用品が買い占められ、本来は数百円の品物が数千円、数万円で転売されるなどして、大きな社会問題となった。

 高まる批判と混乱に、国は2020年3月から8月にかけて「国民生活安定緊急措置法」に基づくマスクの転売規制を実施。転売の舞台となったメルカリやヤフオクなどでもマスク等の出品が一時的に禁止された。一方で各社とも「高額転売」行為自体は規制しておらず、一部で批判を浴びている。

 今回の記事では転売ヤーをめぐる国内外の話題について、過去記事から振り返っていく。

コロナショックで求められるプラットフォームの新秩序

 世界中に拡大した新型コロナの影響で、マスクの需要が全国的に高まっている。一方でそれに便乗した「転売ヤー」の動きも活発になり、ヤフオクでは「マスク1万枚と除菌水200本で350万円」という非常識な値付けも行われた(2020年2月当時)。

 こうした転売ヤーの行為は、マスクなどの必需品が「必要な人に行き届かない一因」となり、悪質な行為として批判を浴びている。政府はネットオークション事業者にマスクや消毒液の出品自粛を要請するなど対策に乗り出したが、より実効性の高い対策を実施する台湾との格差は大きいという。

上場来高値うかがうメルカリ、問われる「転売ヤー」との向き合い方

 転売ヤーがプラットフォームとして利用しているのは、インターネット上の個人売買サイトだ。そのうちの1つ、メルカリでは「転売ヤー」対策が模索されている。

 マスクが高額転売される舞台となったことについて、「想定外の使われ方で社会に摩擦を生む結果になった」と語るメルカリの山田進太郞社長。マスクと消毒用アルコールの転売を禁止した政府の規制に加えて、除菌シートも出品禁止対象に加えるなど独自の自主規制を行う。

 一方で「誰もが自由に売りたいもの、買いたいものを取引できる市場」は重要として、他の品物の高額転売は黙認している状態だ。

成熟の欧州はいずこ? 消毒液盗難、パスタ売り切れ…パニックの様相

 同様の問題は海外でも発生している。英国、イタリア、フランスといったヨーロッパ各国でもマスクや消毒液、一部の食品などが買い占められて極端な品薄状態が続き、病院からマスクなどが盗まれる事態も発生しているという(2020年3月時点)。

 こうした事態を受け、各国では「購入制限」や「国による在庫管理」などの対策や「不当販売」や「転売」の監視強化に乗り出している。

台湾に学ぶデジタル化 市民とともにつくる社会

 一方で、マスク不足の混乱を抑え込んでいるのが台湾だ。IT大臣のオードリー・タン氏が中心となり、マスクの販売店舗を検索できる「マスクマップ」アプリを3日で完成させたり、健康保険証のICカードを使った購入履歴管理を実施したりするなど、早い段階から「ITを駆使した防疫管理体制」を敷いている。

最後に

 新型コロナの拡大とともに注目を集めた「転売ヤー」。国も罰則を伴う規制に乗り出すなど、大きな社会問題となった。すでにマスクや消毒液などの品薄は解消されているものの、転売ヤーが扱う「商品」はさまざまだ。「高額転売」という行為に国や事業者がどのように対処していくのか、今後の取り組みを見守っていきたい。

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