総資産1兆ドルを超える巨大銀行グループを意味する「メガバンク」。日本ではみずほ銀行、三菱UFJ銀区、三井住友銀行が「3大メガバンク」と呼ばれるが、最近ではこれに加え、SBIホールディングス(HD)が「第4のメガバンク」設立を目指して動いている。ここでは3大メガバンクとSBIHDの動向について、過去記事から紹介する。
吸収・合併の果てに生まれた日本の「メガバンク」

メガバンクとは、総資産がおよそ1兆ドル以上の巨大な銀行グループを指す言葉だ。海外では米シティグループ、ドイツ銀行、仏BNPパリバなどが有名だが、日本では「みずほフィナンシャルグループ(FG)」「三菱UFJフィナンシャル・グループ」「三井住友フィナンシャルグループ」が3大メガバンクと呼ばれている。
日本のメガバンク3行はバブル期の都市銀行などが吸収・合併を繰り返した結果として誕生した。これに対し2022年現在、インターネット金融大手のSBIホールディングス(HD)が「第4のメガバンク構想」を掲げ、既存金融機関との提携や新生銀行のTOB(株式公開買い付け)を進めている。日銀の低金利政策により金融機関の収益が悪化する中、この取り組みが業界再編のきっかけとなるか注目を集めている。
この記事では3つのメガバンクとSBIホールディングスに関する直近の話題を、過去記事から振り返ってみる。
三菱UFJ、三井住友FG軸に提携・再編が加速、SBIが台風の目に
金融機関やそのグループ企業同士の提携や経営統合など、組織再編の動きが活発になっている。メガバンクもその例外ではない。
コロナ禍でも良好な経営状態を維持する三菱UFJフィナンシャル・グループは大和証券や東京海上日動火災保険などと連携し、金融商品を1つのアプリで提供する「マネーキャンバス」というサービスを開始した。銀行の枠を超えたサービスを強化することで「稼ぐ力をもう一段強めたい」のが狙いだ。
三井住友フィナンシャルグループの場合は、米国の投資銀行大手ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループと資本業務提携を通して、米国内での投資銀行業務に力を注ぐという。こちらは日本企業の海外M&Aに伴う手数料収入の増加が狙いだ。
正念場のみずほFG、新社長は「ドラッカーの教え」を守れるか
一方、3大メガバンクの一角を占めるみずほフィナンシャルグループでは苦しい状況が続いている。2021年だけで計9回のシステム障害を発生させ、11月には金融庁から業務改善命令を受けた。それにもかかわらず、2022年1月には再びシステム障害が発生している。
金融庁から「言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない」と酷評された企業文化をどのように改革していくか、執行役社長に就任した木原正裕氏の手腕が問われている。
今更? 3メガ+りそなの個人間送金手数料引き下げに冷ややかな目
2020年8月、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3大メガバンクと、りそな銀行、埼玉りそな銀行の計5行が「少額決済の新しい送金の枠組み」をつくることで合意した。具体的にはキャッシュカードで支払いをすると口座から直接お金が引き落とされるというもので、銀行振込手数料の引き下げや事業者間の送金が手軽になるといった効果が期待されるという。
しかしすでにスマートフォン決済事業者が無料の送金サービスを提供していることもあり、フィンテック関係者の見方は「今更感がある」と冷ややかだ。
メガバンクが基準金利引き上げ 住宅ローン、「固定」シフト進むか
2022年に入り、メガバンク各社で住宅ローンの10年固定型の基準金利引き上げが発表された。三菱UFJ銀行では年3.49%、三井住友銀行は年3.5%、みずほ銀行は2.8%となり、いずれも約6年ぶりの高水準だという。
欧米各国で金融政策の引き締めが進む中、今のところ日銀の金融緩和政策には動きが見られない。しかし今回のメガバンクの動きも含めて、「いずれ国内でも金利が上がるのでは」との見方は根強いという。
SBIが新生銀行をTOB 背後に見える金融庁への忖度
「第4のメガバンク」構想を掲げるSBIホールディングスが、新生銀行の連結子会社化を目指してTOBの実施を発表した(2021年9月時点)。新生銀行の資産規模はメガ地銀と同程度の10兆7000億円。旧日本長期信用銀行時代からストラクチャードファイナンス(仕組み金融)のノウハウを引き継いでいることもあり、同行はSBIHDのメガバンク化に欠かせないパーツと見られている。
最後に
日本の金融業界では、既存の3大メガバンクに加え、新生銀行を傘下に収めたSBIHDが第4のメガバンクとして台頭しつつある。これら4グループをはじめとする経営統合や業界再編の動きは、日本経済の行く末にも大きな影響を与える。今後のメガバンクの動きに引き続き注目していきたい。
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