楽天モバイルは、NTTドコモ、au、ソフトバンクに続く日本で4番目の携帯キャリアだ。2019年10月に先行サービス、2020年4月に正式サービスを開始した同社は0円プランなどで利用者数を増やしたものの、売り上げは低迷。その後0円プランの廃止とともに利用者数も減少している。この記事では楽天モバイルのこれまでの主なトピックについて、過去記事から紹介していく。

第4のキャリアとしてスタートした「楽天モバイル」

 楽天モバイルとは、楽天グループの通信サービスのこと。2019年10月に先行サービス、2020年4月に正式サービスをスタートし、国内ではNTTドコモ、au、ソフトバンクに続く4番目の携帯キャリアとなった。

 サービス開始当初、楽天モバイルは「利用料0円」のプランで大きな話題を集めた。他社では当時3000円前後~だった基本料を0円にすることで、同社のユーザー数は急速に拡大。一方で収益は伸び悩んでおり、サービス開始後は赤字決算が続いている。加えて2022年には目玉となっていた0円プランを廃止したことから、ユーザー数の減少も相次いだ。

 この記事では楽天モバイルのスタートから現在までのおおまかな動きと、同社の現在の立ち位置について、ここ数年の過去記事から振り返る。

薄氷の携帯参入、楽天・三木谷氏「世界初」で大ばくち

 2019年の先行サービスを経て、2020年4月から正式にサービス開始となった楽天モバイル。3大キャリアの料金が高止まりする中、消費者からは価格破壊のきっかけになるのではとの期待が寄せられていた。実際、三木谷浩史会長が発表した同社の契約プランは、3大キャリアの半額ほどの料金となっている。

楽天モバイルが契約数示さず まだ見えない事業の道筋

 鳴り物入りでスタートした楽天モバイルだが、初年度の1〜3月期決算は241億円の赤字。回線敷設などの先行投資費用がかさんだことが大きな理由だが、楽天モバイルの事業安定化への道筋は、依然として不透明なままだ(2020年5月時点)。

楽天が「1円スマホ」ばらまきも、狭まる大手の包囲網

 楽天モバイルがユーザー獲得に向けて行う施策のうち、特に注目を集めているのが「0円ケータイ」をほうふつとさせるキャンペーンだ。内容は、同社の料金プラン「Rakuten UN-LIMIT」を新規契約することで、オリジナルのスマホ「Rakuten Mini」を1円で購入できるというもの(2020年6月時点)。

楽天を待つ「4月危機」、端末ばらまきは吉と出るか

 1円スマホや「1年目は月額利用料無料」などの積極策を打ち続ける楽天モバイルだが、2020年1~6月期の連結決算は274億円の赤字だ。楽天グループとしては9年ぶりの赤字に、関係者からは「予想はしていたが、大きさが想定を超えた」と驚きの声が聞かれた。

楽天モバイル、新プランで3つの価格帯 顧客維持へ苦肉の策

 当初は「データ容量無制限で月2980円」というワンプランのみを設定していた楽天モバイル。三木谷会長も「楽天モバイルは1つのプランしか出さない。将来的にも考えていない」と宣言していたものの、サービスの正式開始から1年もたたないうちに「3つの価格プラン」を持つ戦略へと切り替えてきた。

楽天モバイルがローミング終了拡大、「つながらない」にどう向き合うか

 だが楽天モバイルが不振の理由は料金プランのせいばかりではない。同社の通信回線については、ユーザーから「つながらない」との不満の声も多く聞かれる。サービス開始当初はインフラ設備の不足をau回線のローミング(相互乗り入れ)によって補っていたが、auへの支払いも同社の収支を圧迫しているという。

楽天、物価高の渦中に携帯「0円」廃止 強まる副作用

 楽天モバイルが、サービス開始以来の目玉となってきた「0円」を廃止する。三木谷会長は「ぶっちゃけ、0円でずっと使われても困っちゃう」と語るが、消費者の反応は厳しい。発表からすぐにユーザーの流出が始まり、KDDIのpovo(ポヴォ)やソフトバンクのLINEMO(ラインモ)など、競合サービスへと流れ込んでいるという。

赤字拡大の楽天、モバイル事業で“低天井”でも受け入れの理由

 楽天グループの2022年12月期の連結決算は3728億円の赤字。過去最大の赤字となった背景には、楽天モバイルの不振による影響が大きい。「23年中の単月黒字化」に執念を見せる三木谷会長の、次の一手に注目が集まっている。

窮地の楽天モバイルと手を差し伸べたKDDI、一致した両社の思惑

 2023年5月、楽天モバイルがKDDI回線を借りるローミングを拡大する方針へと転換した。自前の基地局整備への先行投資でグループ全体の財務が悪化する楽天側に、KDDIが救いの手を差し伸べた格好だ。KDDIにとっても楽天モバイルからのローミング収入は無視できない収益源。両社が決断に至った背景には、双方の思惑が透けて見える。

最後に

 国内で4番目のキャリアとして、2019年に華々しいデビュー(正式スタートは2020年4月)を飾った楽天モバイル。だがフタを開けてみると、グループ全体の足を引っ張る経営不振が続いている。楽天という巨大グループの一角として、楽天モバイルが今後どのような策を打ち出していくのか、引き続き見ていきたい。

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