米マイクロソフトが開発し、Windows11搭載のブラウザー(Edge)に標準採用されている検索エンジン、Bing。世界シェアは米グーグルのGoogleに次ぐ第2位だが、内訳を見るとシェア90%台のGoogleに対し、Bingは数%と圧倒的な差を付けられている。今回はBingのシェア拡大に向けたマイクロソフトの取り組みを過去記事から紹介する。
世界第2位のシェアを占める検索エンジン「Bing」

Bing(Microsoft Bing)とは、マイクロソフトが開発し、Windows11搭載のブラウザー(Edge)に標準採用されている検索エンジンのことだ。他のマイクロソフト製品との親和性が高く、特にWindows10とWindows11に搭載されるブラウザーMicrosoft Edgeでは標準の検索エンジンとなっている。
2009年(日本版は2010年)にサービスを開始したBingのシェアは、22年時点でGoogleに次ぐ世界第2位だ(出所:Statcounter GlobalStats)。日本国内でのシェアは、デスクトップパソコンではGoogleに次ぐ第2位で、スマートフォンやタブレットではGoogle、Yahoo!に次ぐ第3位だ。
マイクロソフトは対話型AI(人工知能)のChat(チャット)GPTで注目される米オープンAIの技術を取り入れることで、Bingのシェアをさらに広げようとしている。23年5月には対話型の人工知能(AI)を搭載したBingを試験的に一般公開している。この記事では、Bingや検索エンジンに関連する過去記事を振り返る。
ChatGPT超えるAI検索「グーグルキラー」、マイクロソフト独占取材
Bingのシェア拡大に向けて、マイクロソフトはChatGPTで話題を集めるオープンAIの技術を導入。革新的なAIを搭載した新しいBingは早くも話題を集めており、関係者からは「インターネット検索の再発明」との声も聞かれる。
グーグル、10年の計
とはいえ検索エンジンのシェアで首位を走るグーグルのGoogleとの差は大きい。グーグルの創業は1998年だが、わずか13年後の2011年12月期には売上高が3兆4114億5000万円に達し、その翌年(12年10月1日)には時価総額でマイクロソフトを追い抜いた。その原動力は、圧倒的な世界シェアを誇る検索エンジンだ。
お家芸の「追い上げ」でアマゾン、グーグル急追
検索エンジンでグーグルに大きく水をあけられただけでなく、クラウド事業の不振などで「モバイル化とクラウド化の波に乗り遅れた」と批判されるマイクロソフト。しかし同社はもともと新規性を追求するよりも、先行企業にキャッチアップする「追い上げ戦略」での評価が高い。
止まらぬ“人間超え”
先行するライバル企業を追い上げるため、マイクロソフトが注目したのがAI技術。14年12月にインターネット通話の同時通訳機能「スカイプトランスレーター」(プレビュー版)をリリース。「最高の機械学習を手に入れることがマイクロソフトの競争力を決める」としている。
うそをつくAI、ChatGPTは使えるか
AI技術は時間の経過とともに飛躍的な進歩を遂げている。22年11月にオープンAIがリリースしたChatGPTは、自然な対話形式で誰でも簡単に扱えることから、世界中で爆発的な人気を集めている。マイクロソフトはオープンAIに数十億ドルの追加投資を行うとともに、同社技術をBingに組み込み、さらにChatGPTを同社のAzure(クラウドサービス)でも使えるようにする方針だ。
ChatGPTで、マイクロソフトのナデラCEOの良識が試される?
マイクロソフトのナデラCEO(最高経営責任者)は、最新AI技術の導入をめぐり「これが未来だ」と興奮を隠さない。とはいえグーグル(アルファベット)にはChatGPTのベースとなるGPT(生成型事前学習済みトランスフォーマー)よりも強力な基盤モデルがあるとされ、オープンAIの技術をBingに搭載したところで圧倒的な優位に立てるとは限らない。
最後に
最新のAI技術で、自社の検索エンジンBingのシェア拡大を狙うマイクロソフト。世界シェアトップのGoogleとは依然として大きな差がついているものの、「追い上げ」に定評があるマイクロソフトの挑戦に大きな注目が集まっている。インターネット検索にとって革命ともいえるAI技術の導入が、私たちの生活やビジネスに与える影響にも引き続き関心を持っていきたい。
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