様々な業界で活用され、日々進化していくAI(人工知能)技術。海外大手IT企業のみならず、日本でもAIに特化したスタートアップが生まれてきている。今後AI技術が進化することで消費者の生活はどのように変わるのか。また、海外ではどのような動きがあるのか。AIに関連する記事をまとめた。

AI(人工知能)とは

 AI(人工知能)とは、人間の脳が行う学習や推論などの作業を、コンピューターで人工的に実現したソフトウエアやシステムを指す。AIについて専門家の見解は分かれており、統一的な定義がないのが現状だ。AIには、個別の領域に特化して能力を発揮する特化型人工知能と、異なる領域で多様な問題を解決する汎用型人工知能の2種類がある。特化型人工知能には、画像認識や自動運転技術、将棋AIなど、実用化されている多様なAIが存在する。

AIが「最難関」の囲碁で人を超える日

 囲碁AIが人間を凌駕(りょうが)する時代が来た。将棋AIは早い段階でトップ棋士に勝ち越せるまでに強くなっていたが、囲碁は盤面が他のゲームに比べて広いためコンピューターでも計算できず、アマ六段レベルにとどまってきた(2016年1月時点)。しかし囲碁AIが人間を超えるのは時間の問題とみられていた。急速なAIの進化を目の当たりにして、様々な業界がAI技術を応用できるのではないかと注目している。(16年3月、囲碁AI「AlphaGo」は、世界最強の棋士と言われた韓国のイ・セドル氏との5番勝負に4勝1敗と勝ち越した)

グーグルは「AI」で人類の職を奪っていくのか

 社内リソースをAIの研究開発に集中的に注ぐ米グーグル。AI開発が進むにつれ、AIに仕事を奪われるのではないかと語られるが、本当にそうだろうか。グーグルでは身近なサービスにもAIを大いに取り入れている。同社のラガバン氏は、ビジネスパーソンを雑務から解放させるためにAIを活用しているのであって、人類から職を奪おうという狙いはないと主張する。確かに技術革新は人の仕事を奪ってきたが、一方で新たな雇用も生んできた。AI産業に従事する人が急増し、運用管理・サポート業務といった人材需要も増えていくだろう。

AI・IoT時代を切り拓く「人材投資」をどう作る

 AIやITが発展する中、それらを担う人材育成が重要になってきている。政府は「未来投資戦略」で、IT人材を確保し日本全体の「IT力」を強化することが不可欠だと指摘する。しかし、どのくらいの数の人材が必要なのかは分からず、人材を育てるリソースも不足しているのが現状だ。日本では少子化が進み労働人口の減少が危ぶまれているが、政府が強調するのが誰しもITやAIについて「学び直し」ができる社会の構築だ。しかし、学び直そうとしても金銭的・時間的に制約があり、インセンティブも不十分である。学び直す意欲を高めるために、学び直しがより高く評価される「労働市場」を構築していくことが必要である。

ウォルマート、イスラエルのAIスタートアップを買収

 シンガポール政府が所有する投資会社、テマセク・ホールディングスは19年、他の投資家と組み、中国のバイオ医療ベンチャー、Gracellバイオテクノロジーに8500万ドル出資した。同社は免疫細胞遺伝子治療に有効な医薬品を開発しており、いくつかの候補薬は臨床試験に着手できる段階にあるという。

AI開発のプリファードが大企業と対等に付き合える理由

 深層学習と呼ばれる技術を核としたAI開発で日本をリードするスタートアップ「プリファード・ネットワークス」。トヨタやファナック、三井物産などの大企業が続々と提携関係を結んでいる。多くの企業が同社と組む理由は、AIの領域で圧倒的な技術優位性を持っていることだ。また、開発環境が整っていることから優秀な人材が集まり、開発スピードが速いことも特徴だ。プリファードが重視しているのは、大企業と対等に提携すること。相手先企業を選ぶ上で重要視しているのがプロジェクトの中身だ。案件のレベルが高いものを選び、同社が「下請け」となる関係であれば断るという。下請けにならないよう、開発ステップや評価体制にも工夫を凝らす。西川徹社長は積極的に提携することでイノベーションを起こしていきたいという。

「日の丸AI」急上昇 技術で巨人GAFAMに挑む4社

 日本で独自のビジネスを展開するAIスタートアップ企業が勢いを増している。プリファード・ネットワークス、アベジャ、シナモン、リープマインドなどだ。アベジャは、グーグルや米アマゾンと米データロボットの隙間を狙い、機械学習で独自のAIモデルで勝負する。シナモンは、海外の数学素養が高い人材を引き抜き、AIエンジニアとして育成するという異色の人材戦略を強みとする。リープマインドでは深層学習を効率化させる「アクセラレーター/プロセッサー」の開発技術を進める。各企業は、異なる製品戦略と技術戦略で独自のポジションを築きつつある。

AIやセンサーで肌を解析 ビッグデータで「若さ」追求

 大手化粧品各社が、続々とAIやセンサーによる肌解析に注力している。これまで大型装置や研究機関による調査が必要だったが、ビッグデータを基に容易に肌解析することが可能になったからである。消費者の肌のタイプや年齢に合わせ、それぞれに向けたスキンケアを提供することが狙いだ。各社が肌解析を強化する背景には、消費者の嗜好の多様化やSNSの普及により、マス広告や大量生産を前提としたビジネスモデルが転換を迫られていることがある。肌解析を顧客との接点とし、リアルな場を生かした新たな売り方が構築できるかが問われそうだ。

マイクロソフト、米新興企業「オープンAI」に10億ドルを投資

 米マイクロソフトは19年7月、AI研究の米新興企業「オープンAI」に10億ドルを投資することを明らかにした。クラウドサービス「Azure」向けの演算処理技術を共同開発する。言語処理やロボット制御などの特定用途のAIではなく、気候変動やヘルスケア、教育といった広範な分野の解決に向けた汎用人工知能の開発を目指す。技術を商用化する際、マイクロソフトが優先的な協業企業になることでも合意した。

進化するAIの判断 政治、広告、新薬……用途広がる

 マイクロソフトのチーフエコノミストを務めた米スタンフォード大学経営大学院のスーザン・エイシー教授にAIやアルゴリズムの最前線について聞いた。エイシー教授は膨大な情報の中から、特定の個人に合った情報を選び提供するアルゴリズムの開発に取り組む。既存のアルゴリズムを深化させたものだが、現時点ではその精度は100%とはいかないのが現実のようだ。AIの一部が活用できているように見える分野であっても、全体としてAIが適用できる範囲は限られるという。ただ、人間の意思決定の一部に関わり、判断をより良いものにすることができるツールとしては活用できるようだ。

AIが解消する「情報格差」 新アルゴリズムで生産性向上

 エイシー教授が開発するアルゴリズムをビジネスにどのように応用できるだろうか。現時点でのAIの成功例は成功・失敗の判定が分かりやすい分野に集中している。正否の基準や指標を設けて判断することは、AIにはまだハードルが高い作業だ。一方、エイシー教授が注目するのは雇用に対するプラスの側面だ。AIの得意分野を生かした検索・情報収集を中心とした人間の補佐的業務は、人が下す決定に役立つ可能性がある。また、AIが情報格差問題に寄与する可能性もある。

最後に

 AIの国内外事情、AIの活用方法に関する記事をまとめた。現在AIの用途は広がっており、海外の大手企業もAI開発に注力している。日本企業も大手とスタートアップが協業する例も増えており、今後も日本での開発が一層進みそうだ。AIが普及するにつれ、IT関連の人材不足や情報格差問題など、様々な社会問題も今後どうなるか注目である。

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