フランチャイズ(FC)とは、本部がブランドやサービスの使用を許可し、加盟店が対価としてロイヤルティーを支払う事業形態だ。多くのフランチャイズではメリットがデメリットより大きいとされ、実際、この方式を採用している企業は多い。ここではその具体事例について過去記事からピックアップする。

さまざまな業種で活用される「フランチャイズ」

 フランチャイズとは一般的に、「本部」が「加盟店」に商号・商標の使用権やサービスの販売権、ノウハウなどを提供し、「加盟店」が「本部」にロイヤルティーと呼ばれる対価を支払うタイプの事業形態をいう。フランチャイズ方式を採用する業種はさまざまだが、主にコンビニエンスストアや持ち帰り弁当、ファストフードのチェーンなどに多い。

 フランチャイズのメリットは、本部と加盟店双方にある。まず本部にとってのメリットは、短期間で店舗数を拡大できることと、それによって受けられるスケールメリットだ。加盟店の方は、集客力のあるブランドや運営ノウハウ、知名度のある商品・サービスの提供を受けることで店舗運営に専念できる。特にブランド力が強いフランチャイズなら、開業直後から一定の売り上げを見込めるのもメリットといえるだろう。

 一方、フランチャイズのロイヤルティーは著名なブランドほど高額になる傾向があり、加盟店の負担は決して小さくない。また店舗運営に加盟店ごとのオリジナリティーを出せることは少なく、基本的には本部のマニュアル通りに運営しなければならない。他にも同じブランドの店舗で不祥事などがあった場合、自分の店舗は無関係でもその影響を受けやすいこともデメリットだ。

 とはいえ、一般的なフランチャイズではデメリットよりもメリットの方が大きく、結果として現代の日本ではフランチャイズを採用する企業は非常に多い。今回は過去記事を通し、そうした事例の一部を紹介していく。

年間40店出店「業務スーパー」が工場から商社まで持つ理由

 最初に紹介するのは「業務スーパー」を展開する神戸物産だ。業務スーパーの店舗数(加盟店)は全国900近くにのぼり、さらに「年間40店」のペースで増え続けている。

 好調の背景にあるのは独自の「製販一体体制」だ。同社は小売業であると同時に22の自社工場を持つ製造業であり、さらに世界40カ国から自ら輸入を行う商社でもある。これにより他の大手スーパーと比べ「2~3割程度安い」価格設定が可能になり、それが業務スーパーというブランドの強みとなっている。

150店閉鎖の吉野家、チルド弁当参入へ

 有名フランチャイズのひとつが、牛丼チェーンの「吉野家」を展開する吉野家ホールディングスだ。同社のブランドは吉野家だけでなく、うどんチェーンの「はなまる」、すしチェーンの「京樽」も含まれる(京樽は2021年4月にスシローグローバルホールディングスへ売却)。

 外食産業では知名度の高い吉野家だが、新型コロナの影響による外食需要の落ち込みで大きなダメージを受けている。2021年2月期通期の連結営業損益は87億円の赤字で、営業損失が発生するのは11年ぶりだ。

 経営立て直しのため、今後は国内外の吉野家・はなまる・京樽加盟店のうち、最大150の不採算店を閉鎖していく予定だという。

ワークマン、初めて明かした源流「コロナ禍でも大躍進」の必然

 コロナ禍の中、売り上げを「2桁成長」で伸ばしているフランチャイズがアパレルブランドの「ワークマン」だ。もともとは作業服専門店として知られていたが、2020年5月末には店舗数を869に伸ばし、ユニクロにも匹敵するブランドに成長している。

 実は、ワークマンがイメージチェンジを果たしたのはつい最近のこと。2018年9月に、アウトドアショップの装いで出店した「ワークマンプラス」がその先駆けとなった。同社の「商品を変えずに売り方を変える」方式は大ヒットし、既存商品の売り上げは2倍に達したという。

瀬戸際の「いきなり!ステーキ」、衰退には「4つの必然」があった

 対照的に危機的状況に追い詰められているのがペッパーフードサービスだ。看板ブランドである「いきなり!ステーキ」の加盟店を大量閉鎖し、「ペッパーランチ」は2020年8月末にファンドに売却された。

 同社が低迷した背景にあるのは新型コロナの影響ばかりではない。社長のワンマン経営、割高な価格設定、従業員の教育不足、資金調達の甘さといった、これまでに積み重ねてきたマイナス要因が、ここ数年の「無理なフランチャイズ拡大」と2020年の「新型コロナ」によって一気に噴出したのだ。

FCとの関係、譲歩に透ける本音

 フランチャイズの代表格ともいえるコンビニ各社も、加盟店との間で火種を抱えている。現在、コンビニ店舗(加盟店)の9割以上は「人手不足」だ。またコンビニといえば24時間営業が当たり前になっているが、加盟店の8割近くは「深夜帯が赤字」だという。一部のコンビニチェーンでは、本部社員による「仕入れ強制」も問題となった。

 公正取引委員会からの改善要請に対して、コンビニ各社(本部)は改善に向けた方針や計画を公表した。しかし人手不足という根本的な問題は残ったままだ。

外食不況にあらがうマクドナルド、見える「安全」で営業最高益

 ファストフードのフランチャイズで圧倒的な知名度を誇る「マクドナルド」は、コロナ禍の2020年12月期に312億円の「営業最高益」を記録した。

 外食産業が軒並みダメージを受ける中、同社が利益を伸ばした背景には「絶えず変化する消費者のニーズに応えたい」というカサノバCEOの方針がある。具体的には「ライブスルーやデリバリーなど他の客との接触を避ける販売手法」により、利用者の安全や安心をわかりやすくアピールしたのだ。

アパグループ、20年11月期は黒字「狭さ」逆手に踏みとどまる

 最後に紹介するフランチャイズは「アパホテル」。同ホテルは直営とフランチャイズを合わせて、597棟・8万7700室と規模が大きい。しかし他のホテルチェーンが新型コロナでダメージを受ける中、アパホテルの2020年11月期の売り上げは黒字だ。その秘訣は「狭小地の建物に狭い部屋、需給に応じた値付けといった業界の常識にとらわれない経営」だという。

 シングル1泊2500円から利用できる「コロナに負けるなキャンペーン」の実施、QRコードをかざすだけでチェックインできるシステムの拡大、テレワークやサテライトオフィスなど仕事場としての利用をアピールするなど、新型コロナを逆手にとった対策も功を奏している。

最後に

 さまざまな業種に広がるフランチャイズ。基本的には本部と加盟店のどちらにもメリットのあるシステムだが、必ずしもすべてのフランチャイズが成功しているわけではない。特に2020年以降は、新型コロナの影響に苦しんでいるフランチャイズや加盟店も多い。こうした状況がいつ、どのように改善に向かうのか、引き続き注目していきたい。

 さらに詳しい記事や、会員限定のコンテンツがすべて読める有料会員のお申し込みはこちら

この記事はシリーズ「テーマ別まとめ記事」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。