大阪市を再編して行政システムの効率化を目指すとする、いわゆる「都構想」。これまで2度にわたる住民投票が行われたものの、市民の賛否は拮抗し、どちらも僅差で反対票が上回った。この記事では大阪市都構想の内容とメリット・デメリット、これまでの経緯を過去記事を交えて振り返る。

大阪市民の賛否が拮抗した「都構想」

 いわゆる「都構想」とは大阪市の地域行政を大幅に見直す再編計画のことで、当初「大阪府を大阪都に変更」するプランが含まれていたことから、そのように呼ばれている。都構想の柱は、政令指定都市である大阪市を廃止して複数の特別区に再編するものだ。なお、初期の段階では大阪市に隣接する市域や兵庫県の一部まで含む大規模再編も議論されていた。

 都構想の発想は1950年代から存在していたが、具体的な法案として注目を集めたのは2010年代に入ってからだ。都構想を推進する大阪維新の会と反対する自民党が対立する中、2015年と2020年にそれぞれ住民投票が行われ、どちらも僅差で反対票が上回っている。

 ちなみに2015年の都構想と2020年の都構想の内容は別物だ。前者は大阪市を廃止して現行の24区を5つの特別区に再編し、後者は同じく大阪市を廃止して4つの特別区に再編するとしている。ちなみに住民投票で争われたのは厳密には大阪市の「特別区構想」で、この法案が仮に通っても大阪府の名称が変わるわけではない(大阪市ホームページ「大阪府の名称はどうなるの?」より)。

 大阪府知事および大阪市長が所属する「大阪維新の会」によると、大阪市の再編には「二重行政」の解消というメリットがある。具体的な効果としては意思決定の効率化が挙げられ、これについては大阪市もホームページ上で「大阪の成長のための取組みをよりスピーディーに進める体制と、身近なことは身近で決めることができる仕組みが実現します」と説明している。

 一方でデメリットとしては、特別区の設置にあたり「システム改修や庁舎改修が必要」となること、大阪府・特別区・一部事務組合の「三重行政」となる恐れがあることが指摘されている。特に前者については、都構想に反対する自民党によると数百億~1000億円以上の費用がかかるともいわれている。

 2015年、2020年の住民投票でそれぞれ「反対」された都構想は、その後どちらも廃案となった。「3度目の住民投票を実施しないことを求める陳情書」が市議会で採択(2021年2月20日)されたこともあり、都構想の今後の行方は不透明だ。今回は過去記事を通し、これまでの経緯の一部を振り返る。

民意はど真ん中を抜けて

 最初に紹介するのは、2015年5月17日に行われた「最初の住民投票」に関する話題だ。このときの結果は、「賛成」と「反対」と「棄権」がそれぞれ33%を占めるという僅差の接戦だった。

 記事の中で筆者は「これを受けて、政令市としての大阪市は存続し、橋下徹市長がこれまで掲げてきた『大阪都構想』は、公式に葬り去られることとなった」と結論付けたが、後に都構想は復活し、再び住民投票にかけられることになる。

大阪都構想、両取りか否かが鍵、福岡「麻生氏」巡る攻防

 次の記事は2019年の「11道府県知事選」に関する話題だ。特に注目を集めたのは「大阪都構想」の復活をかけた大阪府知事・大阪市長の「ダブル選挙」で、この結果次第では「都構想の推進は事実上終止符が打たれる公算が大きい」とされていた(当時)。

大阪維新が大勝、脱「橋下ポピュリズム」の行方は…

 2019年4月7日に投開票された大阪府知事選・大阪市長選は、どちらも「維新圧勝」に終わった。特に府知事選は「市長からくら替えした吉村洋文氏が、自民党の推薦を受けた対立候補に100万票余りの差をつけた大勝」だ。

 同時に行われた府議会選・市議会選でも大阪維新の会が第1党の地位を確保したが、市議会で単独過半数を取れなかったことについて「勝つには勝ったが勝ち切れなかった」との意見もあり、次の住民投票が実現するかどうかが注目された(当時)。

大阪都構想の住民投票、事前予想の「賛成派優位」は盤石か?

 最後に紹介するのは「2度目の住民投票」に関する話題だ。2019年の市長選・市議選で勝利した大阪維新の会は、2020年9月3日の市議会で「大阪市を廃止して4特別区を新設する『大阪都構想』の制度案」を成立させた。併せて、11月1日に再び住民投票が行われることも決定した。

 マスコミなどが行った調査によると今回の住民投票では「賛成派」が優位に立つが、一方で「反対派が追い上げを見せている」との調査結果もあり、投票の先行きは不透明とみられている(当時)。

最後に

 2015年の住民投票で否決された「都構想」は、2019年の大阪ダブル選を経て「2度目の住民投票」へとつながった。だが2020年11月に行われた住民投票も、1回目に匹敵する僅差で否決された。 この先「3回目の住民投票」があるのか、大阪「都構想」の行方に引き続き注目していきたい。

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