高いデザイン性が話題を集め、国内外で多くのヒット商品を生み出すバルミューダ。元ミュージシャンの若者が立ち上げた「メーカー」は、創業18年で上場を果たすまでに成長した。今回は過去記事を振り返りながら、バルミューダの姿にあらためて注目する。

日本が誇るデザイン家電メーカー「バルミューダ」とは

(写真はイメージ)

 大手の家電メーカーとは一線を画す「デザイン家電」で有名な「バルミューダ」。同社の手がけた扇風機やトースターは国内外で数々のデザイン賞を受賞し、世界で注目を集めている。

 バルミューダの創業者、寺尾玄氏は元ミュージシャン。高校中退で世界を放浪するなどユニークな経歴の持ち主だが、実は「ものづくり」の経験はなく、音楽活動の引退後にゼロから学び、2003年にバルミューダを立ち上げた。

 同社の初期の製品はPCの周辺パーツやデスクライトだったが、2010年に発売した扇風機「GreenFan」がヒット。日本の「グッドデザイン賞」やドイツの「red dot design award」「iF product design award」を受賞するなど話題を集め、現在も同社を代表する商品となっている。

 2015年に発売されたトースター「BALMUDA The Toaster」も、バルミューダを有名にした商品のひとつだ。グッドデザイン賞や iF Design Awardを受賞したデザイン性の高さはもちろん、「どんなパンでもおいしく焼く」という独自の工夫も手伝って、20万台を超えるヒット商品になった。

 その後も電気ケトル「BALMUDA The Pot」、炊飯器「BALMUDA The Gohan」など生活家電を充実させ、2020年には東証マザーズ市場に上場を果たすまで成長した。

 この記事では、バルミューダをテーマにした過去の記事から特に興味深いトピックを厳選して紹介する。

バルミューダ炊飯器を土鍋派記者が辛口評価

 バルミューダといえば扇風機の「GreenFan」やトースターの「BALMUDA The Toaster」が有名だが、それらと同じくらい注目を集めているのが炊飯器の「BALMUDA The Gohan」。「土鍋よりおいしいご飯を実現すること」という目標を与えられ、開発には18カ月かかったという。

 3合炊きの一種類だけなのも、保温機能が付いていないのも、すべて「おいしいご飯にこだわるが故のシンプルな設計」の結果だが、中でも特徴的なのが、ご飯単体で食べると今ひとつだが「おかずと一緒に食べるとおいしさが際立つ」ようにチューニングされていること。この発想について、寺尾社長は「この炊飯器は、おいしい食卓を実現するための道具にすぎないんですよ」と胸を張っている。

次はレンジ、バルミューダが成熟市場に挑む理由

 The Toaste、The Pot、The Gohanと、次々に台所家電を発売してきたバルミューダ。次に挑むのは電子レンジの「BALMUDA The Range」だ。このジャンルは老舗の国内家電メーカーが圧倒的な存在感を放つ成熟市場だが、バルミューダがあえてそこに飛び込むのには理由がある。

 寺尾社長によると、それは「可能性はどうやっても否定できない。だからやりたいと思ったら、どんなことでも挑戦する」という信念だという。そして、常に「なぜ? 本当か?」と考えることが「不可能を可能にし、世の中でイノベーションを起こす」と語る。

バルミューダのトースター、男性がヒットを牽引

 続いてバルミューダ社長室長の木下直子氏と、クックパッドの初期メンバーで同社のブランディング部門を率いる小竹貴子氏の対談記事を紹介する。

 対談のテーマはバルミューダの「BALMUDA The Toaster」。木下氏によるとトースターを開発する際、開発陣は寺尾社長から「最高においしいチーズトーストが焼けるように」と厳命されていたという。さまざまな試行錯誤を経て誕生した製品は、同社のヒット商品となった。

 もちろんバルミューダらしく、デザインや製品名にもこだわりが込められている。こうしたものづくりが「男性に響いた」ことも同製品の成功のカギになっている。

バルミューダ、開発の軸は「人生を良くするもの」

 引き続き木下氏と小竹氏の対談記事を紹介する。次の話題は電子レンジの「The Range」だ。ありがちな「ピー」という電子音に代わり、「プロに録音してもらったギターの音」を採用したユニークな電子レンジ。木下氏は「どうしてもバタバタとして殺伐としがち」な台所に「あえて、プッと笑いたくなるエンターテインメントを提供できたら」と語る。思わず見せたくなって人を呼んだり、家族の会話が増えたりする、コミュニケーションの道具という意味合いも込められているという。

 このエピソードのように、バルミューダの製品開発は「スペック」ではなく「シーン」を重視したものだ。スペック的には決して最先端ではないが「課題解決というよりも、新しい豊かさを提案していきたい」「人生をより良くするものなら、何でも出したい」という思いが同社の原動力となっている。

バルミューダの起業時や倒産危機を支えた大恩人

 最後に紹介するのは、バルミューダの「節目」に関するインタビュー。ヒット商品の誕生やデザイン賞の受賞などさまざまな節目を持つ同社だが、この記事で取り上げられているのは「起業時」と「倒産危機」という危機的な局面だ。

 高校を中退して海外を放浪し、帰国後はミュージシャンとして活動していた寺尾社長。28歳で音楽の道に見切りをつけて「ものづくり」の道を目指したが、実はそれまで「ものづくり経験ゼロ」だったという。

 新たな道に進むため「自宅周辺の町工場を訪ね歩いた」ものの、どの工場でも門前払い。ただひとり手を差し伸べてくれたのが、春日井製作所だった。寺尾社長は当時を振り返り「春日井さんご兄弟との出会いがなければ、バルミューダは生まれていなかったかもしれません」と語る。

 リーマン・ショックの影響で倒産の危機に直面した際には、フジマイクロの丸山忠作社長(当時)が助け舟を出してくれた。後に大ヒット商品となった「GreenFan」が生まれたのも丸山社長のおかげだったという。

 人との出会いによって大きな節目を乗り越えてきたバルミューダ。しかし「出会いは『運』ではない」と語る寺尾社長。むしろ「あきらめない力」と「人のため、誰かのための努力」「本気度」の3つがそろうことではじめて、人との出会いを引き寄せることができると寺尾社長は語る。

最後に

 家電メーカーとしては小規模ながら、話題性の高いヒット商品を次々と生み出すバルミューダ。その原動力となっているのは、寺尾社長の強い理念とこだわりだ。新型コロナによる世界的な不景気が続く中、バルミューダの作る製品は世の中を明るくする力を持っている。これからもこだわりに満ちた「新製品」の登場に期待したい。

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