一般ドライバーが運転する自家用車で有償の旅客運送を行うライドシェア。世界では米ウーバーテクノロジーズ(Uber)や中国の滴滴出行(DiDi)などがシェアを伸ばしているが、日本では法規制やタクシー業界の反発などもあり、市場が育っていない。今回はライドシェアの最近の動向を中心に、過去記事を振り返ってみる。

一般ドライバー&自家用車と利用客をつなぐ「ライドシェア」

 ライドシェアとは、一般ドライバーが自家用車で提供する有償の旅客運送サービスだ。一種の「相乗り」だが、一般ドライバー自らではなく、ウーバーテクノロジーズ(Uber)やリフト(Lyft)(いずれも米国)、滴滴出行(DiDi、中国)、グラブ(Grab、シンガポール)といった事業者が専用のスマホアプリで、ドライバーと利用者をマッチングする。

 ライドシェアのメリットは、運転者(自家用車の所有者)にとっては遊休資産の活用や自由な働き方ができること、利用客にとっては割安な料金や事前に(アプリを通して)運転者の評価を知ることができることなどだ。一方で運転者にとっては企業による保証がないことや突然の失職リスク、利用客にとっては見知らぬ運転者とのトラブルなどがデメリットとして挙げられる。

 ライドシェア市場は米国や東南アジアなどで急速に拡大しているものの、日本では市場そのものが存在しない。これは法律(道路運送法)により、原則として自家用車を使った有償旅客運送が禁止されているためだ。これまでもUberの日本法人による実証実験や交通過疎地域での例外的なサービス認可は行われてきたが、タクシー業界の反発などもあり、現時点では法改正や規制緩和の見通しは立っていない。

 この記事では日本の現状を含め、ライドシェアをめぐる最近の話題を過去記事から紹介していく。

シェアリングエコノミーが生み出す新しい経済と課題

 シェアリングエコノミーとは、個人や企業の資産(モノ、サービス、場所、スキルなど)が、インターネットを介してシェアされる仕組みを指す。米Uberが提供するライドシェアサービスもその一つで、「ドライバー増による利用者側の利便性向上と低コスト化」により世界各地でタクシーやハイヤーなどに対し、高い競争力を発揮している。

自動車産業を変革する「CASE」を1分で説明できますか

 CASE(ケース)とは、Connected(接続性)、Autonomous(自動運転)、Shared & Service(シェアとサービス)、Electric(電動化)の頭文字を並べたものだ。2016年にドイツのダイムラーが提唱したのをきっかけに、「自動車産業の変革期を示すキーワード」として世界中の自動車業界から注目を集めている。

「CASE」の鍵は「マッチング理論」の社会実装にあり 

 CASEはモビリティー(移動手段)の分野において、100年に1度のイノベーションといわれている。このうちシェアリング(S)には「買い手と売り手が1対1でマッチ」する必要があることから、マッチするためのルールを研究する「マッチング理論」が注目を集めている。

米レンタカー大手ハーツ破綻。ウーバーとコロナが挟撃 

 2020年に、100年以上続く米国の老舗企業、ハーツ・グローバル・ホールディングスが経営破綻した。ハーツはレンタカーの大手として知られていたが、新型コロナウイルスの感染拡大でビジネス客や旅行客が減ったこと、そしてUberやLyftなどのライドシェアサービスが急拡大したことで経営が立ち行かなくなった形だ。

タクシーサバイバル コロナ禍の廃業連鎖から抜け出せ

 日本では道路運送法の規制もあってUberなどのライドシェア事業は行われていないが、それでもUberの存在はタクシー業界に大きな影響を与えている。たとえば2018年にUberがタクシー配車アプリを本格展開したことがきっかけとなり、タクシー業界の中で「プラットフォームを自らつくらなければ」という危機感が高まったこともその一つだ。

KDDIがAIオンデマンド交通mobiに「相乗り」、タクシー業界の猛反発をかわせるか

 ライドシェアに代わり注目を集めているのが「AIオンデマンド交通」だ。たとえばKDDIとバス事業者のWILLER(ウィラー)が共同で手掛ける「mobi(モビ)」もそのひとつ。現在は京都府京丹後市、東京都渋谷区、愛知県名古屋市千種区の3カ所で、スマートフォンとAI(人工知能)の活用による「乗り合い型」の交通サービスを提供している。

最後に

 シェアリングエコノミーの代表例として注目を集め、Uberをはじめとする事業者が世界中でサービスを展開するライドシェア。運転者にとっては資産の有効活用、利用者にとっては安価で手軽に利用できることがメリットだが、日本では法の壁に阻まれ導入が見送られている。この魅力的なサービスが将来的に日本で受け入れられる可能性はあるのか、今後も注目していきたい。

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