創業者、大塚勝久氏と、その娘である大塚久美子氏による社長交代劇が注目を集めた大塚家具。両者の内部対立による混乱やそれにともなう業績悪化、ヤマダ電機への傘下入りなど、わずか10年ほどの間に同社の環境は大きく変化した。大塚家具をめぐる過去の記事から、同社の注目トピックを取り上げる。

 大塚家具を巡るトピックとして注目を集めたのは、創業者である大塚勝久氏とその娘、大塚久美子氏の対立だ。2009年に社長へ就任した久美子氏だが、14年に解任(勝久氏が会長兼社長に就任)され、翌15年には再び社長に就任(勝久氏が会長職を退任)するなど混乱が続いた。

 社長交代後も業績悪化と回復を繰り返してきた同社だが、久美子氏側の資産管理会社をめぐる訴訟や、久美子氏による経営改革が目立った成果を上げなかったこともあり業績は低迷。19年にはヤマダ電機の傘下へ入った。「お家騒動」をめぐる混乱と苦戦する経営改革、同社の「身売り交渉」に関する記事を紹介する。

大塚家具、赤字の陰にお家騒動

 14年12月期、営業利益で4億200万円の赤字(前期は8億4300万円の黒字)となった大塚家具。原因の1つと考えられているのが、経営方針を巡る大塚勝久氏と大塚久美子氏との間の内紛だ。

 14年7月に久美子氏を解任し社長へと再就任した勝久氏。久美子氏の戦略を否定し、担当社員が顧客に付き添う「昔ながらの接客」にこだわった。株主からは「新社長から経営方針をうかがいたい」「100億円の手元現金をどう生かすつもりか」などと疑問や懸念が噴出したが、広告宣伝費をふんだんに使う方針に変化は見られず、赤字へ転落した。

大塚家具、問われる上場の意義

 15年1月に社長を解任された大塚勝久氏。勝久氏が「娘を社長にしたのが間違いだった」と話すのに対し、久美子氏は「勝久会長の演出に社員が巻き込まれている」「創業者がいなくても成長できる組織にスムーズに変えたい」と語るなど、対立は深い。

 父娘の主導権争いに目を奪われがちだが、問題の本質は顧客本位の経営を怠り、企業統治(コーポレートガバナンス)もおろそかにしてきた企業体質に負うところが大きい。上場の意義を問われかねない局面だ。また、情報開示に消極的な勝久氏や収益回復に向けた具体策を示せない久美子氏。父娘が主導権争いに明け暮れる中、世界的な低金利を追い風に投資ファンド業界では中堅企業への資本参加が活発だ。大塚家具の経営陣も思わぬ外圧に目配りすべきだろう。

大塚家具、内紛で消えた株主還元

 創業者親子の対立は、大塚勝久氏による大塚家具株式の売却へと発展。これに対し複数の金融機関が久美子氏側に株式買い取りによる消却を打診するものの、実現しなかった。

 勝久氏が株式を手放すことで久美子氏側の資産管理会社が大塚家具の筆頭株主となったが、同社株価に下押し圧力がかかるなど不利な局面は続いた。投資ファンドなどが勝久氏の株式を買い集め「モノ言う大株主」となる可能性もあった。

大塚家具、事業モデル改革に苦戦する理由

 従来の会員制をやめて、気軽に入れる店へと転換した大塚家具。新社長となった大塚久美子の方針だ。「普通の小売店と同様に入れるようにしました。『5分だけ時間があるから、さっと見てみよう』という方でも気軽に入れる雰囲気です」と久美子氏は語る。結果として入場者数の増加にもつながった。

 一方、単価の高い家具は気軽に購入できない。販売員が新しい仕事の仕方に馴染むのにも時間がかかる。結果として16年6月には「15億円の営業赤字」の見通しが発表された。15年7月に勝久氏が設立した会社「匠大塚」との競合もある。規模で劣る大塚家具の苦境が続くことになる。

大塚家具、自力再建困難に、身売り交渉大詰め

 18年8月の決算発表を控え、スポンサー探しを急ぐ大塚家具。同業社だけでなくアパレル、建材、商社、投資ファンドなど数十社に及ぶ企業と交渉したものの、先行きは予断を許さない状況に陥っていた。

 スポンサー探しが難航する背景にあるのは同社の業績不振だ。17年12月期には最終赤字が過去最大の72億円、18年1~3月期は14億円の赤字を計上した。15年12月末には109億円あった現金と預金も、16年12月末には38億円、17年12月末には18億円まで落ち込んだ。久美子氏は銀行からの融資などでしのぐことを目指したが、それも断念。支援企業探しを始めたが状況は依然として厳しいままだった。

大塚家具、スポンサー選び難航の理由は社長?

 スポンサー選びが難航する要因は「久美子社長の処遇」にあると言われる。多くのスポンサー候補が久美子氏に対し「社長の退陣と100%減資」を要求したのに対し、久美子氏側がそれをのまなかったためだ。

 15年3月の勝久氏解任以来、創業者親子による感情的な非難の応酬が続く大塚家具。資金繰りは火の車で、大げさな表現ではなくまさに会社は存亡の危機にある。スポンサー交渉が難航している間にも、会社の体力はどんどんむしばまれていく。最優先事項は会社の「維持」だ。個人の「意地」はどうでもいい

他社頼みの大塚家具、国内外で販路開けるか

 19年2月、「38億円の第三者割当増資による財務増強策」「ヤマダ電機などとの業務提携」を発表した大塚家具。しかし株価の大幅な下落もあり、株主からは「これだけ損害を与えて経営責任はどうなるのか」と厳しい声が上がる。

 19年1月の販売実績は前年同月比75%、3年前と比べると3割以上も売り上げが減少するなど、販売面でも苦戦が続く同社。新たな販路を開拓できるかがかぎとなった。

大塚家具、業績予想公表も頼みの中国事業は織り込めず

 経営再建中の大塚家具。20年4月期の業績予想では4期ぶりの黒字転換を見込むが、12カ月換算の売上高は18年12月期に比べ13.5%減の323億5500万円、営業損益は7億2100万円の赤字となる。

 大塚家具は相次いで直営店舗を閉鎖する一方、イタリア高級ブランド「ポルトローナ・フラウ」やドイツ高級ブランド「ロルフベンツ」を展開して売り上げ増を見込むが、久美子氏が成長の切り札として期待する中国事業の先行きは不透明だ。

最後に

 内紛が収まった後も経営不振が続く大塚家具。ヤマダ電機による支援も決まり、同社の店舗でのコラボも始まっているが、直営店の業績回復は容易ではない。経営の立て直しが進むのか、進むとしてもどれほどの時間がかかるか、いまだに見通すことができない。

 「再建のカギ」と期待される中国事業も含め、今後の展開にも目が離せない。

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