メッセンジャーアプリの「WeChat」をはじめ、SNSやオンラインゲームの運営などを手がける「テンセント」。1998年創業と歴史は比較的浅いものの、2015年には一時フェイスブックを抜き、時価総額世界第5位を記録するなど急成長を続けるIT企業だ。今回はテンセントの概略に加え、事業拡大の軌跡を過去記事からたどっていく。

中国の巨大IT企業「テンセント」とは?

 IT企業の躍進が著しい中国。その中でも、売り上げや時価総額でGAFAに迫る勢いを見せるのが「テンセント」だ。テンセントの設立は1998年にさかのぼる。翌1999年にPC向けのメッセンジャーアプリ「QQ」、2011年にはスマホ向けメッセンジャーアプリ「WeChat」をリリースする一方で、多数のオンラインゲームをリリース。動画配信サービスやモバイル決済、さらには他業種への出資なども手がけて急成長し、2015年1月には時価総額で世界第5位となる約5900億ドル(約64兆5500億円)を記録した(日本最大のトヨタ自動車は約25兆円)。

 日本では知名度がそれほど高くないテンセントだが、アジアトップクラスの売り上げを誇るIT企業は、さまざまな日本企業に影響を与えている。ここでは過去に取り上げたトピックを振り返りつつ、テンセントの動きを追う。

日本の「おはこ」に迫るテンセント

 世界最大のゲーム会社となったテンセント。2017年には、オンラインゲームの売上高が全体売上高の4割となる約978億元(約1兆6600億円)を記録した。2018年8月開催予定(当時)の第18回アジア競技大会でも、公開競技となる「eスポーツ」で使われる6つのゲームのうち、5つまでをテンセント関連の企業が開発しているという。

 テンセントの事業分野は、ゲームなどのIT分野だけではない。同社の程武副総裁は「創作の新しいエコシステムが中国でできつつある」と語り、日本が得意とするアニメなどの分野でも自信を見せている。

テンセント、海南島にゲーム事業の拠点設立

 2019年1月、ゲーム事業の拠点設立のため海南省三亜市政府と戦略提携協定を結んだテンセント。ゲームの開発運営だけでなく、都市のブランディングについても協力していくという。

テンセント、香港科技園と提携

 テンセントと香港科技園公司がフィンテック分野で提携し、香港政府系ハイテク産業団地「香港科技園(サイエンスパーク)」の運営管理に乗り出す。香港科技園に入居しているスタートアップ企業の支援が主な目的だ。

中国テンセント、タイで動画配信サービス開始

 2019年3月、テンセントがタイで「ビデオストリーミングサービス」を開始した。先行するNetflixとの競争に挑む一方で、AI(人工知能)やクラウドサービスにも大規模投資する予定だという。

任天堂、中国でのスイッチ発売でテンセントとの協業を公式発表

 2019年4月、家庭用ゲーム機「スイッチ」を中国で発売するためにテンセントと任天堂が提携を結んだ。販売が実現すればマイクソロフトの「Xbox One」、ソニーの「PlayStation 4」を含む大手3社のそろい踏みとなる。

テンセントとZTEが5Gで提携

 2019年6月、通信機器大手の中興通訊(ZTE)とテンセントが提携を発表。5Gを活用した「エッジコンピューティング」や、効率的なネットワーク伝達技術の開発・実用化を目指すという。

クアルコムとテンセント、5Gのモバイルゲームで提携

 2019年7月には米クアルコムとの提携を発表したテンセント。モバイルゲームの分野で、お互いの強みを持ち寄ることで5Gやクラウド、AR/VRなどに対応した次世代ゲームの開発を目指す。

滴滴とテンセントが共同セキュリティー実験室

 2019年7月末に、テンセントが中国の配車サービス最大手「滴滴出行」との提携を発表。「インターネットセキュリティー共同実験室」を設置し、乗客の安全性を高める研究を行うという。

テンセントが米ユニバーサル・ミュージックに出資

 テンセントは2019年12月、ユニバーサル・ミュージック・グループに出資した。

京東とテンセントが中古車競売企業に出資

 他業種への関与を強めるテンセント。中古車競売事業の「汽車街発展」にも出資し、同社の自動車関連事業と連携したワンストップサービスを目指す。

最後に

 世界でも指折りの巨大企業となったテンセント。メッセンジャーアプリやオンラインゲームを中心にIT分野でノウハウを蓄積するだけでなく、音楽や日本が得意とするアニメといった創作分野にも力を入れている。

 日本企業にも影響を与えるテンセントの躍進は、今後も要注目だ。

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