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1999年中国で創業以来、eコマース事業や検索サイト、電子マネーなど様々なサービスで知られているアリババ集団。現在では国内のみならず海外にも積極的に展開を行う。IT事業という未知の分野の中、中国国内と海外の両者にビジネスモデルが通用した理由とはなんだったのか。その躍進の背景や今後の見通しなどについて関連記事をまとめた。

アリババの沿革

 1999年、アリババ集団は中国浙江省杭州市で設立された。主なサービスは、B2Bオンラインマーケットプレイス「Aribaba.com」や中国国内個人向けECサイト「天猫(Tモール)」、中国消費者向けオンライン決済サービス「Alipay(支付宝)」などだ。現在は中国国内のみならずグローバルに展開を行っている。Alipayの全世界のユーザー数は10億人を超え、全体の売上高は6兆円に迫るなど、その影響の大きさがうかがえる。また、その創業者であり元CEOであるジャック・マー氏によるビジネスモデルや経営手腕にも注目が集まり、中国の起業家で初めて「フォーブス」に掲載されるなど話題となっている。

アリババ、史上最大は最強なのか

 中国の電子商取引最大手、アリババ集団が米ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場した。史上最大の約2兆7000億円を調達した。中国市場での流通総額は2960億ドル(約32兆2000億円)とその存在感は圧倒的だが、中国で見せつける強さが世界で通用するのか疑問の声も上がる。これまでは政府の規制に守られてきたが、今後は世界での競争力を求められる。

アリババ、ウォルマート超え世界一の流通企業に

 アリババの総取引額がウォルマートの売上高(2015年12月期は約4856億ドル=約54兆円)を抜き、世界一の“流通企業”となる日が近づいている。ただ、張CEOはこれは2020年度には総取引額6兆元(約102兆円)へ到達するための通過点だと認識している。この目標を達成するために掲げているのが農村への進出と越境ECの拡大だ。これには、中国では地方都市の成長が著しいことと、消費者の要求が多様化し輸入品が好まれているという背景がある。

アリババ、シャオミ…、中国企業の経営者力

 ジャーナリストの高口康太氏が『現代中国経営者列伝』(星海社新書)にて、中国の有名企業8社の経営者の歩みをまとめた。本書のテーマは、中国人経営者の生きざまを通じて中国の高度成長期について描きだすことと、改革開放以来の中国経済史を俯瞰(ふかん)することだ。破天荒な経歴を持つ経営者8人の中には、アリババ集団のジャック・マー氏も含まれる。今ではIT業界の世界トップランナーとして知られるマー氏だが、学生時代では落第生であり現在とはまた異なる人物像が浮かび上がる。

アリババは「信頼」を攻略して巨大企業となった

 アリババの創業者で会長のジャック・マー氏は、信頼関係を構築することでアリババを成功へと導いた。しかし、中国は伝統的にコネ社会であり、信頼を勝ち取ることは大変な挑戦だった。オンライン決済システムであるアリペイ(支付宝)の導入の際には、企業が第三者による身元確認や銀行口座の裏付けを得てラストパス認証を受けられるシステムや、零細企業に手数料を課すことで、消費者からの信頼を構築した。

アリババ、18年10〜12月期の営業利益3%増

 中国ネット通販最大手のアリババ集団は30日、2018年10~12月期の営業利益が前年同期比3%増の267億元(約4300億円)だったと発表した。昨年11月の大規模セール「独身の日」の取引額が過去最高となるなどネット通販事業が好調だったが、動画配信や外食宅配事業などの収益改善が遅れている。

アリババ、下期に香港上場か

 米ブルームバーグは2019年5月28日、アリババ集団が2019年下半期にも香港証券取引所へ上場することを検討していると報じた。200億ドル(約2兆1900億円)を調達するとみられている。同社は14年にニューヨーク市場にも上場している。

アリババ、香港証券取引所に上場申請

 2019年6月13日、中国の電子商取引最大手アリババ集団が香港証券取引所へ上場申請したと報じられた。最大200億ドル(2兆1900億円)の調達を検討しているとみられる。

セールスフォースとアリババが戦略的提携、CRMの中国独占販売

 米セールスフォース・ドット・コムは24日、中国のアリババ集団と戦略的提携を結んだことを明らかにした。アリババは大中華圏(中国本土、台湾、香港、マカオ)でセールスフォースのサービスを独占的に販売する。セールスフォースは、アリババがこれらの市場で販売する顧客情報管理(CRM)の独占的プロバイダーになる。「Sales Cloud」「Service Cloud」「Commerce Cloud」「Salesforce Platform」といったサービスが対象になる。

アリババ集団、業績好調も政情不安で香港上場延期か

 2019年6月に香港証券取引所に上場申請していたアリババ。しかし同年8月15日、中国アリババ集団が香港取引所への上場の延期を検討していることが分かった。香港の政情不安などを受けて上場計画を再考しているとみられる。同社が15日に発表した2019年4~6月決算は、純利益が243億7500万元(約3700億円)で前年同期比で約3倍となるなど好調だった。

ジャック・マー突然の引退発表の謎

 2018年9月、ジャック・マー氏が突然の引退を発表した。マー氏は会長職を引退し、教育慈善事業に専念するという。その理由として、国有企業が企業運営に干渉してくるという中国のビジネス環境がある。後任はアリババ集団現CEOの張勇。一連の後継者計画は10年も前から計画されていたという。ただ、引退理由はこれだけではないかもしれない。中国のeコマース企業・京東集団(JD.com)の董事局主席兼CEOであり、若手の星として知られていた劉強東が起こした性犯罪容疑あるいはハニートラップ事件だ。もともと習近平は中国IT長者や民営企業CEOを快く思っておらず、ここ数年民営企業トップが失脚する事態が起きていた。このような状況で、マー氏が後継者育成や世代交代の重要性を訴えたことは、習近平政権に対する懸念の表れのように見える。

最後に

 ここまでアリババ集団の躍進の過程をまとめた。上場する際は、中国国内でのビジネスモデルがグローバルに通用するのか懸念されていた同社だが、いまだに成長の勢いは続いているようだ。その背景にはITと人同士の信頼関係を掛け合わせたシステムが消費者の安心感を獲得したこと、積極的に他企業との提携を進めていることにある。しかしIT企業トップを快く思っていない中国政府の影響力は大きい。政府との関係が同社の将来をどう変えていくか、今後も注目である。

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