ホラクラシーとは組織内のグループに決定権を分散させて、それぞれが自律的・能動的に活動できるようにする組織管理システムのこと。中央集権的なヒエラルキー型組織に代わる経営手法としても注目されている。本記事では、ホラクラシー型組織の実態や取り組みについて考察する。

「ホラクラシー」

 ホラクラシー型組織では、社員の声を広く取り入れることが可能だ。組織の改善サイクルを早めたり、社員の満足度を高めて組織風土を改善したりすることが可能になる。

 この記事ではホラクラシーを組織運営に取り入れている企業の事例や経営者の考えを過去記事から紹介する。

企画・開発力UPを実現する、ホラクラシー組織を考える

 AI(人工知能)を使った医療システムサービスを提供するUbie(ユビー、東京・中央)は、営業部門は「ヒエラルキー型」、研究開発部門は「ホラクラシー型」と組織形態が異なる。

 営業部門の使命は売り上げを伸ばすこと。研究開発部門はイノベーションが求められるが、上司の承認を必要とするヒエラルキー型の組織では「斬新なアイデアが埋没する」可能性があるため、ホラクラシー型を採用しているという。

「必要のない残業」の減らし方

 日本生産性本部の「平成29年度新入社員『働くことの意識』調査」によると、新入社員の2人に1人以上が、必要のない残業をしているという。

 ITベンチャーのUPDATA(東京都渋谷区、旧ダイヤモンドメディア)では組織階層がなく、上司が存在せず、勤務時間や働く場所も各自に任されている。社員に求められるのは「純粋に与えられたミッションをクリアする」ことだけで、無意味な残業をする社員は全社員による会議で転職を勧告されるという。

「“何もしない”」をして子どもの可能性を伸ばす

 ダイヤモンドメディアの武井浩三社長(当時)は、「『社長』という立場すら、あってないようなもの」と語る。会社組織そのものを社長個人の判断で動かすことができないようにつくり替えるなど、その方針は徹底している。

 ホラクラシーに取り組むきっかけは、「1度目の経営の失敗」にあるという。ファッション系の会社を1年で倒産させた後、改めて経営の基本や近代的な管理会計を学び、さらにアリや蜂の生態や人間の体、宇宙の仕組みまで研究。「自然の摂理を経営に生かせないか」と考えて、見つけたのがホラクラシーだったという。

ヤッホーの井手社長に聞くティール組織の作り方

 クラフトビールメーカーのヤッホーブルーイングは「フラットな組織文化」を土台とする。井手直行社長が就任した当時はヒエラルキー型で、5年ほどをかけてティール組織へと移行した。

 井手社長によると、フラットな組織に求められるのは「やっていることに共感して、自律している」こと。

最後に

 ホラクラシー型組織はどの企業でも簡単に取り入れられるものではないが、今後もより多くの実践例と成功例が現れることを期待していきたい。

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