「チームビルディング」とは組織が目標を達成するために、メンバーのスキルや能力を最大限に発揮させる仕組みづくりのことだ。利用される手法はゲームやワークショップなどさまざまだが、効果的なチームビルディングはメンバー一人ひとりの能力を最大限に引き出し、それを組織の力にすることができる。今回は過去記事を通して、その具体的な手法や事例を紹介していく。

さまざまな手法がある「チームビルディング」

 チームビルディングとはチームが目標を達成するために、メンバーそれぞれのスキルや能力を最大限に発揮できる仕組みづくりを指す。

 ワークショップやチームビルディング専用のビジネスゲームなどがしばしば利用され、メンバー同士の団結力や意識の共有などを高めていく。他にもサッカーなどの団体球技、おもちゃのブロック玩具を利用した研修などの他「会議室で意見を出し合う」「歩きながらミーティングをする」といったシンプルなスタイルのものもある。

 一方で明確な目的を持たないチームビルディングは、単なる「遊び」で終わってしまうことも多い。また目的が明確でも手法がそれに合わない場合、狙い通りの効果は得られない。チームビルディングの効果を最大限に発揮するには、目的や内容をしっかり検討することが必要だ。

 この記事ではチームビルディングのさまざまな実践例を過去記事から紹介していく。

日本企業の組織がうまく機能しないこれだけの理由

 チームとして機能している組織と、そうでない組織の違いは「チームシナジー」を生み出せているかどうかにある。しかし日本の企業では経営者やリーダーの8割以上の人たちが「組織がパフォーマンスを発揮していない」という実感を持っているという。

 組織がチームシナジーを生み出せない原因は、「リーダーが部下の育成に本気で取り組んでいない」「部下に興味、関心がない」といったリーダー自身の姿勢にあるという。

“キッチンなしでも普通”の国で、料理教室?!

 料理教室を運営するABCクッキングスタジオ。2015年に6番目の海外拠点として選んだのは、屋台などの外食文化が発達しキッチンがない家庭が多いタイだ。だが、タイでの生徒数は順調に増え、中国、香港、台湾、韓国、シンガポール、マレーシアなど世界各地のABCクッキングスタジオからも注目の的となっている。

 その背景には、タイ人にとって料理がコミュニケーションの一環になっていることがある。例えば、料理を習っている最中にタイ人は頻繁に写真を撮りSNS(交流サイト)にアップする。自分が作ったパンやケーキを周囲にアピールする場になっているのだ。

 「企業のチームビルディング用ワークショップ」としての需要も出てきた。限られた時間内で限られた材料を用い、各グループがそれぞれテーマを掲げて料理を作り発表する。料理を通じてチームワークやリーダーシップ、行動力を育成するワークショップは料理教室の新しい可能性かもしれない。

ブラインドサッカー通じ、混ざり合う社会実現へ

 日本ブラインドサッカー協会は、ブラインドサッカーをチームビルディングのツールとして提案している。

 この取り組みに対して「視覚障がい者のための協会である我々が、なぜ目が見える人に対してリソースを割くのか」という意見もあった。それでも「コミュニケーションスキルやチームビルディング、リーダーシップ、ボランティア精神などを養い、同時に障がい者理解を深める」という目的を伝え続けることで、多くの学校や企業からも問い合わせが寄せられるようになったという。「教育や企業研修の制度設計の中のこの部分で活用したい」という明確なニーズを持った申し込みもされているのだ。

進化するサバゲー 非日常求めて女性も参戦

 サバイバルゲーム(サバゲー)がチームビルディングツールとして注目されている。サバゲーは2チームに分かれてBB弾と呼ばれる専用の弾を敵に命中させて倒す(ゲームオーバーさせる)ゲームだ。チームビルディングツールとして使われるのは、サバゲーの強い緊張感のなかでは個々の人間性があらわになりやすく、仲間との連帯感も深まるからのようだ。

 また、専用フィールド(特に都市型のインドアフィールド)の整備が進み、使用するエアソフトガンが安全かつ高性能になったという背景もある。かつては「危険な遊び」とされていたサバゲーに興味を持つ人も増えているという。

ゴルフで言動が変わる~楽しいアウトドアコーチング

 日本ハムファイターズ(現北海道日本ハムファイターズ)の2軍監督や1軍ヘッドコーチなどを務めた白井一幸氏は、経営者向けにゴルフを通したアウトドアコーチングをしている。普段、会社で口にしている言葉や振る舞いは、ゴルフのプレー中に出る。そのときの自らの言動を客観視することが大切だという。

 キャンプはアウトドアコーチング、特にチームビルディングに効果的と言う。「会議室では議論が盛り上がらないチームでも、屋外で炎を前にすると面白いように本音が出る」のだ。

もはや朝礼は「ブラック企業」の象徴なのか

 チームビルディングの実践で有名なのが、クラフトビール最大手のヤッホーブルーイング。同社の井手直行社長によると、チームビルディングを始めるきっかけとなったのは「朝礼」だという。

 井手氏が社長に就任したのは08年のこと。当時社員数は約20人だったが、朝礼で一方的に「力を込めて話せば話すほど、社員との心の距離が広がっていった」と振り返る。そこで朝礼の内容を雑談にすることでコミュニケーションの量を増やし、互いの人柄を知る。その後で高度な議論をするようにしたのだ。

「病んでいる職場」が激変する、強いチームの創り方

 日本チームビルディング協会代表理事の齋藤秀樹氏によると、テレワークの導入で人と人の心理的距離が離れてしまい、組織やチームのさまざまな問題が顕在化しているという。淡泊で士気が低いチームワーク、孤独が主原因となるメンタル不調、進捗管理の仕事しかなくなった管理職の機能不全などだ。

 それだけに「今、誰が何をしているのか」「自分はどうすべきなのか」といった疑心暗鬼や不安を解消するためにも、心理的距離を近づけるチームビルディングの重要性が増している。

最後に

 チームビルディングは、メンバー同士の相乗効果によって組織のパフォーマンスを上げることを目指すものだ。その手法にはさまざまなものがあり、料理やスポーツ、サバイバルゲームなどをチームビルディングに活用している例もある。チーム力に課題を抱えた組織はもちろん、コロナ禍によるテレワークの拡大などで結束力やパフォーマンスが落ちた企業にとって、チームビルディングの重要度は増しつつある。

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