XRとは、現実世界と仮想世界を融合させる技術の総称。その中にはVRやAR、MR、SRなどが含まれるが、これらの技術はハードウエアやソフトウエアの進歩とともに急速に普及しつつある。今回はXRを使ったビジネス事例や各社の取り組みについて、過去記事から振り返ってみる。

現実世界と仮想世界をつなぐ「XR」

 XR(クロスリアリティー)とは、現実世界と仮想世界を融合する技術の総称だ。仮想世界を活用する技術にはVR(仮想現実)やAR(拡張現実)、MR(複合現実)、SR(代替現実)などがあるが、核技術は互いに組み合わせて利用されることも多く、技術間の線引きが難しい。そこでこれらの技術の総称として、XRという言葉が生まれてきた。

 XRはエンターテイメント業界をはじめさまざまな業界から注目を集めており、技術の進歩も著しい。その背景には4K・8K相当の画像技術やそれを再生するヘッドマウントディスプレー、立体音響などの進化がある。また大容量コンテンツを配信できる5G技術も、XR普及のカギになると期待を集めている。

 この記事ではXRやそこに含まれる各技術をテーマにした過去記事から、近年の事例を中心に紹介していく。

ここまで来た仮想現実、XRは生産性向上の切り札

 ゲームなどエンターテイメント分野での活用が目立つXRだが、産業分野でも注目と期待を集めている。現実世界に投影された立体映像には臨場感があり、製造や保守、研修などで効果的なツールとなるという。すでにゼネコンなどでも、MRを活用した「トンネル維持管理システム」の活用が始まっている。

10年分の体験を10分で 人間拡張が実現するメタバース変革とは

 XRなら現実世界では不可能なことも容易に実現できる。たとえば「10年分の劣化を早回し再生する」といった、時間を超える体験も可能だ。こうした技術は、現地従業員への技術移転を伴う大型の産業プラントなどの海外輸出でも役立つという。

ドコモが空前の規模で「XR City」開始、問われるARへの本気度

 NTTドコモでは「XR City」と呼ぶ独自のプラットフォームを展開。ARを使って謎解きゲームや写真撮影用のフィルターといった各種コンテンツを提供するもので、東京・新宿エリアや大阪・道頓堀での実証実験を経て、2022年7月よりサービス開始した。当初は新宿中央公園や埼玉県庁など7エリアでの提供だが、2027年3月までに全国200以上のエリアに広げていきたいという。

「進撃の巨人」が現実世界に? XRライブ、ぴあが仕掛け人

 チケット流通大手のぴあも、収益基盤の強化に向けXRを活用する。仮想世界を取り込んだライブを企画することで、チケット販売に加え興行主の側に回るというのがその狙いだ。

メタバース時代に携帯電話事業者はOTTから主導権を取り返せるか

 2022年7月から開催された「METAVERSE EXPO JAPAN 2022」では、Meta社をはじめXRに取り組む国内外の企業が一般向けの展示を行った。注目を集めていたのは、仮想空間上でVRライブ配信を実現するNTTドコモの「MATRIX STREAM」、メタバース内にオープンしたソフトバンクの「ソフトバンクショップ in ZEPETO」などだ。

NTTグループが総力挙げメタバース新会社で勝負に、XR事業を拡大できるか

 NTTドコモがXR事業拡大に向けて新会社を設立する(2022年9月28日発表)。「NTTコノキュー」と名付けられた新会社はNTTグループ各社のXR事業の譲渡を受けて、XR Cityといったコンテンツの運営をはじめ、デバイスの開発にも乗り出すという。

最後に

 ゲームやライブといったエンターテインメントだけでなく、建設業や製造業、さらには医療などの分野でも活用が進むXR。Meta社やNTTコノキューなどXRに専門で取り組む企業も国内外に増えており、今後の技術発展が期待されている。ビジネス分野や日常生活の分野で、XRがどのように活用されていくのか引き続き見守っていきたい。

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