タンポンやナプキンなどの生理用品や、紙おむつで日本国内のトップシェアを誇るユニ・チャーム。本記事は、同社の概要や沿革、そしてここ数年の動向を、過去のニュースを参考に紹介していく。

ユニ・チャームの概要・沿革

 ユニ・チャームは、タンポンやナプキンなどの生理用品や、紙おむつで日本国内のトップシェアを誇る企業。愛媛県川之江市(現:四国中央市)・資本金300万円・社員数24人でスタートした。いまやグループ社員1万6,000人以上となり、その活動フィールドは日本にとどまらずアジアを中心に中東・欧州など世界へ広がっている。

ユニ・チャーム、中国で失速のワケ

 そんなユニ・チャームの中国事業は、2012年ごろまで毎年2割の成長を続けていた。しかし、2013年は一転して、数%の伸びにとどまった。生理用品の販売は期初の計画を上回ったが、乳幼児用紙おむつが落ち込んだことが響いた。紙おむつの販売が失速したのは、同社が中国における消費者の需要の変化を見過ごしたからにほかならない。2012年以降、後発の米キンバリー・クラークや花王が、海外で生産した高価格帯の紙おむつを中国市場に投入。安全に対する関心の高まりを受けて、年3~4割のペースで伸長した。2010年には1割に満たなかった高価格品のシェアは、2013年に15%程度まで拡大した。ユニ・チャームも変化の兆候をつかんでいなかったわけではないが、対応が遅れた。

「短命化」を逆手に取る

 一方国内市場では、コンビニエンスストアをはじめとする小売りと、どのように付き合うかという点が業界の課題になっていた。ユニ・チャームはそこに向き合い、効果的な施策を展開していた。紙おむつで、当時国内シェアトップのユニ・チャームは、膨大なデータを収集・分析し、それを基に消費者のニーズに沿って、きめ細かい商品戦略を進めていたのだ。同社は、ドラッグストアやホームセンターに売り場づくりなどを積極的に提案。短命になりがちなブランドの寿命を延ばすことに成功した。当時の社長、高原豪久氏は「成熟期に商品をヒットさせるには、ビッグデータなどを活用して新たなターゲットを発見し価値を提案することが重要」と強調する。

ユニ・チャーム、「なぜウチか」を掘り下げる

 2016年には、ユニ・チャームは中国や東南アジアなど海外へも積極的に販路を拡大。海外販売比率は61.4%になっていた。そんな同社は、採用についてはどのような考えを持っているのか。グローバル人事総務本部キャリア開発グループのシニアマネージャーを務める清水直人氏に聞いた。同氏によると、ユニ・チャームは当時、毎年50人前後採用していた。実際、2016年卒採用は48人だった。

 そんな同社が、採用基準として重要視している要素は、理念に共感できるかどうかだという。そこに共感できないと、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)や花王、ライオンといった競合と同じ志望動機になってしまう。

「副業解禁」で壊れる日本の「カイシャ」

 また、ユニ・チャームは社員の働き方に関しても、新たな試みを進めてきた。同社は2018年4月、「副業」を解禁した。「働き方改革」を掲げる当時の安倍晋三内閣は、2017年来、「副業・兼業」推進の旗を振っていた。2018年1月には厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」をまとめたほか、同省が示していた「モデル就業規則」から副業禁止の規定を削除。従来は「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定が「モデル」として記載されていたがこれを削除。「副業・兼業」という章を設けて条文を例示した。つまり、会社の利益に反するようなことがない限り、「副業・兼業」は自由だとした。しかし、この方針には賛否がある。ユニ・チャームの働き方改革も含め、動向に注視する必要がある。

ユニ・チャームを襲う「アジア成功の復讐」

 2018年には、中国だけでなくインドネシアなどの東南アジアにも世界のライバルが攻め込み、ユニ・チャームは底力を試されていた。その背景には、ユニ・チャームが先行開拓してきた東南アジア市場で、環境が激変していたことが挙げられる。同社のこれまでの成功の方程式は、P&Gが本格参入していないような国にいち早く足場を築く戦略。紙おむつや生理用品を使うという文化そのものを浸透させながら、市場を開拓してきたのだ。だがインドネシアでは2013年に、P&Gが紙おむつの現地工場を建設して本格参入してきたのだ。

ユニ・チャームや旭化成が先手、埋もれた技術を蘇らせる4つの戦略

 ただ、悪いニュースばかりではない。ユニ・チャームは社内の埋もれたリソースを発掘し、新商品の開発を行った。

 2020年ユニ・チャームは4月7日、生理用ナプキン「ソフィSPORTS(スポーツ)」を発売した。これは、運動や仕事で日常的に動き回る女性をターゲットに開発した戦略商品だ。最大の売りは激しく動いても吸収体の形状が崩れにくい点。パルプと合成繊維をムラなく混ぜ合わせる独自の技術を取り入れて実現した。

 実はこの技術、新たに開発したものではなかった。もともとは別のナプキン向けに開発したものだ。2015年に一度商品化したものの、販売は不振。「便利さが消費者に伝わらなかった」(グローバル開発本部の野田祐樹・第1商品開発部委担当部長)ためだが、結果がついてこなかったため、技術も社内で顧みられることなく、放置されていた。ユニ・チャームがこの技術を発掘できたのは、社内の埋もれた知的財産を徹底的に発掘する部隊があるからだ。

マスクはどこへ? 生産体制を主要メーカーに聞いた

2020年4月には、マスクの需要が高まった。販売するマスクの9割以上を国内製造するユニ・チャームの国内生産量は、月産1億枚と多い。「通常の生産量の倍程度」(広報担当者)とフル生産を続けつつ、遊休設備を活用したさらなる増産体制を整備しているという。

最後に

ここまで、ユニ・チャームのここ数年の動向を紹介してきた。同社は海外市場への展開を積極的に進めてきたが、特にアジア圏では苦戦を強いられている。ただ、新たな試みも続けている。国内では、積極的にイノベーティブな商品を発表したり、新たな働き方を実践したりするなどしている。今後も同社の取り組みを注視していきたい。

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