2020年の選挙戦で勝利し、第46代アメリカ大統領に就任するバイデン氏。トランプ前大統領やその支持者の反発が依然として根強い中、新型コロナ対策や中国との関係など解決すべき課題は多い。今回はアメリカ大統領選以降のバイデン氏に関するトピックを紹介していく。

「バイデン」

 2020年のアメリカ大統領選で、ドナルド・トランプ大統領(当時)に勝利した民主党のジョー・バイデン氏。1970年に郡議会議員として初当選し、第44代大統領、バラク・オバマ氏のもとで副大統領を務めたベテラン政治家だ。

 選挙戦では選挙人の過半数となる306人を確保して勝利したバイデン氏だが、トランプ氏やその支持者たちはバイデン氏の勝利を認めなかった。投票結果を確定する上下両院の合同会議では、トランプ氏の支持者が暴徒となり議会を襲撃・占拠するというトラブルも発生した。

 波乱の幕開けとなった「バイデン新大統領」。歴代最高齢となる78歳という年齢に加え、トランプ前大統領の下で混迷した新型コロナ対策の立て直しや中国との外交問題など、難題が山積している。この記事では、選挙戦から就任直前までのバイデン氏の動きと、バイデン氏に期待される政策について過去記事から紹介する。

TV討論、トランプ節と横やりに屈しなかったバイデン氏

 2020年のアメリカ大統領選で、トランプ大統領とバイデン氏の直接対決として注目を集めた1回目のテレビ討論会。前評判の低さにもかかわらず、専門家の中にはバイデン氏の「健闘」を評価する声が聞かれた。

 テレビ司会者などの経験を持つトランプ大統領に対し、77歳(当時)と高齢で健康状態に不安も抱えるバイデン氏。当初はトランプ大統領が有利と思われていたが、米国政治の専門家・中林美恵子氏によると両氏の対決は「ほぼ互角」だったという。

トランプ氏の2度目の弾劾訴追に意味はあるか

 上下両院の合同会議が行われていた米連邦議会議事堂。そこにトランプ大統領の支持者たちが乱入し、暴動に発展した。彼らを「扇動」したとされるのは、自らの敗北を認めないトランプ大統領だ。

 この事態に対し、民主党陣営はトランプ大統領の職務停止を求めるとともに、2度目となる弾劾訴追の手続きに入った。弾劾訴追の効力についてはさまざまな意見があるものの、一連の動きはアメリカ国民の間に深刻な分断があることを浮き彫りにしている。

 2021年1月20日に就任したバイデン次期大統領には、国民の融和という困難な課題が突きつけられている。

バイデン次期米政権は「第3期オバマ政権」か?

 2020年12月の中旬に、バイデン政権の主要人事が発表された。オバマ政権時代に各省の副長官クラスを務めた、ロン・クレイン、アントニー・ブリンケン、ジェイク・サリバン、アレハンドロ・マヨルカス、アブリル・ヘインズ、ジョン・ケリーなどの名前に、「第1期バイデン政権」ではなく「第3期オバマ政権」だとの声もある。

 一方で、女性の起用が目立つのもバイデン政権の特徴だ。広報担当の高官は全て女性で、財務長官など経済主要3ポストも全て女性が占めるという。加えて、国防長官にアフリカ系のロイド・オースティン元軍司令官が指名されたことも大きな話題を集めている。

バイデンが進める気候変動対策、まずは外交から

 バイデン氏の「気候変動対策」に注目が集まっている。

 トランプ大統領によるパリ協定脱退で、一度は気候変動対策の国際的な枠組みから外れたアメリカ。これに対しバイデン氏は、就任100日以内に主要排出国による首脳会合を招集し、国別削減目標の強化を働きかけると公約していた。

 アメリカが再びパリ協定に戻って、中国をはじめとする他国との利害関係をどのように調整していくのか、就任直後からバイデン氏の手腕が試されようとしている。

中国とバイデン政権、「戦争の危機は次の10年が最大」との見方も

 中国との関係構築は、バイデン大統領にとって重要な外交課題だ。

 台湾問題、チベット問題に加え人権問題や経済摩擦などをめぐり、アメリカと中国はこれまでもたびたび衝突している。特にトランプ政権のもと、近年の「対中圧力」はピークに達しつつある。

 それでも国内外に向けて強気な姿勢を崩さない中国。「戦争の危機は次の10年が最大」と警鐘を鳴らす専門家も現れており、今後の米中関係に世界の関心が集まっている。

バイデン政権が「米国の信頼」取り戻すためにすべきこと

 アメリカ第一主義を掲げるトランプ政権のもとで、国際社会から孤立気味だった近年のアメリカ。バイデン新政権には、こうした姿勢を改め再び国際社会と協調していくことが期待されている。

 国際ルールの無視や国連の軽視などにより、この4年間のアメリカは同盟国からさえ「信頼できない相手」と見られてきた。こうした状況をバイデン氏が変えるには、「パンデミック後の経済回復」「発展途上国や新興国向けの資金援助」、そして「国際的な法の支配の復活」がカギになるという。

バイデン政権発足で問われる日本のESG

 バイデン新政権の誕生後、アメリカは「ESG(環境・社会・企業統治)」関連のルール整備や産業振興策に力を注ぐとみられている。その根拠のひとつとなるのが「就任当日にパリ協定に復帰」するというバイデン氏の公約だ。

 アメリカの動きは国際社会のESGに関する議論を活発にし、新たな国際ルール作りを推進すると考えられる。日本が国際社会に後れをとらないためには、議論を自ら提起し「ルールを作る」側に立つ気概が必要だ。

最後に

 トランプ前大統領との対決に勝利し、第46代次期大統領の座についたバイデン氏。環境問題に対する積極的な行動や中国との関係構築など、やるべきことはたくさんある。

 アメリカが再び国際協調路線に戻ることは、日本にとっても決して人ごとではない。バイデン氏の手腕と新政権の活動に、これからも注目していきたい。

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