カナダ発のEC支援サービスを提供するショッピファイは、コロナ禍で大きく成長した。その背景には、営業活動が困難になった企業からの需要増があった。本稿では、そんな同社の概要やサービス内容などを紹介する。

ショッピファイの概要・沿革

 ショッピファイは、カナダのオタワに拠点を置く企業。オンラインストアのテンプレートやPOSシステムを含む、eコマース支援サービスを提供している。同社がターゲットにしているのは、主に個人や小規模の小売業者だ。日本に進出したのは2017年。2020年は、コロナ禍により営業が困難になった実店舗を持つ企業の需要により、大きく成長した。実際、2020年4月12日の週、新たに作成されたオンラインストアの数は、3月2日の週と比較してグローバルで75%増えたという。

対面販売は強みから弱みへ、「お店」の新たな価値探る

 そんなショッピファイは、これまでも個人や零細企業の利用を伸ばしてきたが、コロナ・エフェクトで改めて同社への注目度は高まっている。特に実店舗でのビジネスが中心で、これまでECをやってこなかった企業からの引き合いが増えているという。日本国内だけでなく世界的に同社への関心が高まっており、2020年4月12日の週、新たに作成されたオンラインストアの数は、3月2日の週と比較してグローバルで75%増えたという。ショッピファイを活用すれば、デザインや決済関連の機能を組み合わせ、ホームページの作成などに慣れていなくても簡単にECサイトをつくることができる。また、自社のECサイトなので、楽天やアマゾンでの出店に必要な審査はなく、最短1日でサイトの作成が可能だ。

「アマゾンで売れないものも自社ECで」 日本攻めるショッピファイ

 弊誌では、ショッピファイ日本法人(東京・渋谷)のマーク・ワング代表に、足元の状況や今後の日本のEC市場の見通しについて、インタビューをしている。同氏によると、2020年の4月は3月に比べ、新しい事業者(店舗)の登録が50%伸びたという。さらに、ショッピファイのプラットフォームで運営する日本のECサイトで買い物をした人の数も、同期間に77%も増加したという。

 その需要の高まりの1つの要因が、楽天やアマゾンとの違いだ。中小や零細企業は、なかなか楽天やアマゾンのサイトでは販売を始められない。手数料が高く、サイトや在庫の管理も大変だからだ。そうした点を解決する技術をショッピファイが提供することで、アマゾンでは売れないようなものを、中小零細事業者が自社のECという販路で売れるようになる。しかしこれは、「アマゾンをやっつけたい」ということではないと、ワング代表は述べる。新しい起業家たちを支援したいという、同社の考えからやっていることなのだという。

「小ロットでも生産を受ける」1人メイカー、今は1人ではない

 ショッピファイの躍進は、米国発の製造業ムーブメントである「1人メイカー」を後押しする。1人メイカーは、「ニッチだけれども、コアなファンがいる」という製造業の新しい形だ。ショッピファイは、知識や経験がなくても、簡単にECサイトを自身で立ち上げることができる。同社のように、中小企業を支援するサービスを展開する企業は、他にもある。物流サービスのオープンロジ(東京・豊島)は、7000社以上の荷主を抱えるが、その多くが中小事業者だ。オープンロジが提携する国内16社、米国1社の倉庫には、1個からでもモノを預けられる。在庫の確認や出庫の指示も、オープンロジのシステム上でできる。オープンロジのサービスを利用している1人メイカーは、「お客さんから注文が入ったらスマホで出庫を指示すればいいだけなので、1日10分ほどしか物流業務に時間を割かなくてすむ」と話す。

 なお、ショッピファイとオープンロジはシステムを連携させることができる。ECサイトで注文を受け付けた後、出庫までが自動で完了する。異なるサービスでも連携できるシステムが近年増えており、使い勝手は大幅に向上しているという。

物流に悩むEC事業者の駆け込み寺 倉庫の空きスペースを活用

 オープンロジがショッピファイと連携したのは2018年。荷主が連携させれば、サイトでの受注処理から、倉庫での発送業務までを自動で完了できる。さらに、倉庫間で起きたミスを共有するシステムも構築。ミスの原因を互いに把握することで、倉庫会社間のカベを越えて業務内容の質の向上を図っているという。

モノをつくってみたい、広がる1人製造業 “一発屋”の乗り越え方

 起業家を支えることにつながるビジネスの輪は広がっている。商品の企画設計から製造、在庫管理から出荷までを支援するエコシステム(生態系)は徐々に築かれていくだろう。バッグブランドCOETの中島多恵子氏からバッグの製造を請け負うA.Sスポーツ(東京・練馬)の下平美貴代表取締役も、「1人メイカーの相談に乗れる人がいない」と感じている。会社という後ろ盾も、足がかりもない1人メイカーを「協力関係にある職人や工房とつなげたい」と述べる。

最後に

 ここまで、ショッピファイの企業概要や沿革、そして直近、同社が中小企業ビジネスをいかに支援しているかを紹介してきた。ショッピファイは、2020年のコロナ需要で大きく成長した。店舗を持つ企業は、外出制限により営業が難しくなった。そこで、ショッピファイのサービスを活用する企業が増えたのだ。さらなる成長が見込まれる同社の動向から、今後も目が離せない。

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