個人として創業まもないベンチャー企業に投資を行う「エンジェル投資家」。ベンチャーキャピタル(VC)や金融機関から融資を受けることが難しい起業家にとって、エンジェル投資家の有無は事業の成否にもつながるほど重要な存在だという。ここでは過去に掲載されたトピックの中から、エンジェル投資家についての話題を振り返る。

ベンチャー企業を育てる「エンジェル投資家」

 エンジェル投資家とは、創業まもないベンチャー企業を支援する個人の投資家のことだ。一般にVCのような巨額な投資は行わないものの、自身のノウハウやネットワークを活用して、起業家に有形無形の支援を提供してくれる。起業家にとっては「親や親戚」と「VC」の間を埋める存在、と言われることもある。

 銀行やVCにアピールできるほどの実績を持たない創業前後の起業家にとって、エンジェル投資家のような「有志」の存在は非常に大きい。米国がこれまで数々のベンチャーを生み出してきたのも、寄付という文化を背景に、大勢のエンジェル投資家が若者たちを支援してきたからだ。

 一方、寄付を美徳とする文化を持たない日本では、エンジェル投資家の数はそれほど多くない。結果としてベンチャー企業の数や規模も、米国の数分の一程度だという。この記事では、日本のエンジェル起業家にテーマを当てた過去記事を紹介していく。

日本にも「エンジェル」が求められる

 起業家が育ちやすい風土を醸成するには「エンジェルが欠かせない」と話すのは、ぐるなびの創業者で会長の滝久雄氏。米国では十分に稼いだ成功者が寄付をして、新しい企業人を支援するのが美徳とされており、結果として豊かな国をつくり出しているという。

 米国のようなエンジェルが存在しない日本。エンジェルに対する優遇税制などの仕組みを整備して、寄付や投資が推奨される価値観や文化を広めていくことが大事だと滝氏は語る。

起業の時代はもう終わり? そんなことはない

 アマゾンやグーグル、フェイスブックといったかつてのITベンチャーが強大になりすぎて、「新たにスタートアップを起こす余地がもうない」という指摘がある。しかし起業ブームやテクノロジーのトレンドは周期的に繰り返しており、「エンジェル投資の意義や機会」は決して失われていない。

 米国の著名企業家によると「プロダクト(製品)に対する強烈なこだわり」を持つ日本にはスタートアップが生まれる可能性があるという。日本にはまだエンジェル投資家のコミュニティーが少ないものの、それも「パイオニア」になる人にとっては大きなチャンスだ。

メルカリ上場後の憂鬱

 一方で日本では、「メルカリ」の上場以降「BtoC分野のユニコーンがいなくなってしまう」という声が聞かれる。エンジェル投資家はいても、投資先の有望なベンチャーが存在しないというわけだ。

 この背景としては2つの原因が指摘されている。一つは「デバイスのイノベーションが停滞」していること、もう一つは「成功した起業家が再び起業せず、エンジェル投資家になってしまう」という事情だ。

東大の起業ラッシュは本物か、大学発ベンチャー数日本一の実力

 こうした現状に対し、「ベンチャー企業が活躍しないと、日本経済は成長しない」と断言するのは東京大学の松尾豊教授だ。東大では起業家支援のエコシステムを約15年間かけて整えており、現在は日本一のベンチャー輩出校となっている。

 起業家支援エコシステムの中には、もちろんエンジェル投資家も含まれている。自身も東大のシステムの下で成功したユーグレナ社長の出雲充氏、グノシー創業者の福島良典氏などがそれだ。「エンジェルとなった先輩が次世代へバトンをつなぐ」システムこそ、東大が数多くのベンチャーを送り出したカギといえる。

 東大の成功に刺激され、一橋大学や東北大学など他大学でも同様の取り組みが始まっている。日本のベンチャー数や規模は、ベンチャー大国・米国と比べればまだまだ小規模だ。起業家のスキルも米国の起業家より見劣りするという。これからは、日本国内だけで勝負するのではなく「世界を相手にする、グローバルな大企業を目指す」起業家が求められている。

最後に

 これまで数々のベンチャー企業を育ててきたエンジェル投資家。かつてのベンチャーが大企業に成長した後も、次々と生まれるベンチャーのためにエンジェル投資家の活躍が望まれている。

 エンジェル投資家が少ないとされる日本だが、成功した起業家がエンジェルとなり、後輩を育てている例もある。これからの日本のエンジェル、そしてベンチャーに引き続き注目していきたい。

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