「フォートナイト(Fortnite)」 は、エピックゲームズ(Epic Games)が販売・配信する、2017年に公開されたオンラインゲームで、20年7月時点で、全世界に2100万人のユーザーを抱える大人気ゲーム。本記事では、そのフォートナイトの概要や、同社とプラットフォーマーの対立について紹介する。

フォートナイトの概要と直近の動向

 「フォートナイト(Fortnite)」 は、エプック・ゲームズ(Epic Games)が販売・配信する、2017年に公開されたオンラインゲームだ。プレーヤーは、集めた素材で壁や階段、屋根、床を作ったりトラップを仕掛けたり、作ったものを編集して独自の世界を構築したり、他のユーザーと対戦することができる。なお、フォートナイトは20年7月時点で、全世界に2100万人のユーザーを抱えている。

 そんなフォートナイトを手掛ける米エピックゲームズは、20年8月13日(現地時間)、フォートナイトが配信されていたApp Storeを運営する米アップルや、Google Playストアを運営する米グーグルに反旗を翻す。エピックゲームズは、iOS端末やAndroid端末で同社独自の課金システム「Epic direct payment」を、20年8月13日(現地時間)に開始。アップルとグーグルがそれぞれ手掛けるアプリ配信サービス(アプリストア)の規約に反するため、両アプリストアにおけるフォートナイトの配信は同日停止された。

過熱する「フォートナイトの乱」 アップル、グーグルの独占に反旗

 そもそもなぜ、エピックゲームズは戦いを挑んだのか。というのも、アップルのアプリストア「App Store」とグーグルのアプリストア「Google Play」では、いずれもアプリ開発者に対して、アプリ購入とアプリ内購入に対して30%の販売手数料が課される。これが「高額、かつ独占的な取り決め」だとしてエピックゲームズが異議を唱え、両アプリの課金システムを回避する独自課金システムを開始。併せて、同システム利用時に最大20%の割引を継続的に実施すると発表した。20%という割引率は、30%の手数料率に対する当てこすりだろう。これに加えて、アプリストアにおける配信や課金システムが独占的だとして、米カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所にアップルを提訴した。

 スマートフォン市場がまだ伸び盛りだった頃には、アプリストアはスマホアプリ市場拡大に大きく貢献した。中でも、販促の人員も費用も乏しい小規模なアプリ開発者にとって大きなチャンスになった。ただ市場が成熟するにつれて、30%という手数料が高額だという声も大きくなってきた。こうした声は以前から聞こえていた。ではなぜ、今のタイミングでエピックゲームズは反旗を翻したのか。その背景には少なくとも2つの要素がある。

 1つは、米IT大手による市場独占への懸念に対して、かつてないほど世間の注目が集まっていること。もう1つの背景は、エピックゲームズのような大手コンテンツホルダーの立場が相対的に強くなってきたことがある。開発したゲームをゲーム機だけでなく、スマホやタブレット端末、パソコンなどさまざまなハードウエアに対して配信しやすくなったのだ。

アップル、手数料30%は法外か

 エピックは裁判を通じて、被った損害の金銭的補償を求めているのではない。求めているのは、公正な競争を実現するために必要な手数料の差し止め命令である。一方のアップルは声明で、配信停止の理由について「(エピックが)すべてのアプリ開発者に等しく適用され、ユーザーのために安全にアプリを配信できるように設計されたアップストアの規約に違反する残念な行為を取った」ためと説明している。

 エピックが新たに導入した「ダイレクト・ペイメント」は、アップストアでのアプリ内課金を回避するとともに、アップル価格から20%引きでアイテムをプレーヤーに提供するオプションだ。これはアップルによる事前審査を受けることなく導入したことと併せて、アップルの規約に反している。

 エピックは65ページに及ぶ訴状の中で、アップルの支払いシステムはアプリ開発者がアップストアを利用する場合、開発者にアップルの支払いシステムの利用を義務付けている点を違法で独占的だと指摘する。また、「アップルは違法な条件とポリシーを通じて、開発者がアップストアを利用しない限り、アップルのiOSユーザーに配信できない状況を作り出し、iOSアプリ配信市場で圧倒的な独占的地位を確立している」とした。さらに、「アップストアを利用したアプリの売り上げに、競争的水準を上回る『税』を課すことができるのもアップルの強大な権力を裏付ける」と述べた。

包囲網もどこ吹く風 GAFAの次の一手

 しかし、フォートナイトを巡るこうした動きがある中、世界に広がりつつあるGAFA包囲網もどこ吹く風とばかりに、巨大テック企業の力は増している。

 20年10月29日、グーグルCEO(最高経営責任者)のスンダー・ピチャイ氏は、アルファベット(グーグルの親会社)の20年7~9月期の決算を受けて次のように語った。「好業績となった要因は、主力のデジタル広告収入が持ち直したからだ。新型コロナウイルスの影響で4~6月期は売上高が上場以来初の前年割れだったが、7~9月期は前年同期比14%増。広告収入以外にも、巣ごもり需要で動画サービスの「YouTube」やクラウドサービスが好調だった」。

 グーグル以外の3社も増収だった。電子商取引やクラウドサービス、SNS(交流サイト)などGAFAが展開する事業は、インターネット上でさまざまな情報やモノをやり取りするプラットフォームビジネスである。今やこれらのサービスは、人と人との物理的な接触が難しくなった新型コロナ感染拡大後のニューノーマルにおいて、なくてはならないものとなった。

「アップル税」引き下げ表明も深まる対立の理由

 しかしアップルは20年11月18日、アプリの開発者に課している30%の配信手数料を引き下げると発表した。

 「アップルとしては痛みが少ない施策だ。やらないよりはやった方がいい程度であり、世論の風向きを変えるまでにはいかないのではないか」。独占禁止法に詳しい池田・染谷法律事務所の池田毅弁護士は、アップルが打ち出したアプリ配信手数料の引き下げについてこう話す。

 アップルが20年11月18日に打ち出したのは、21年1月以降、年間のアプリ販売額が100万ドル(1億円強)以下の事業者や個人に課す手数料を従来の半分となる15%にすること。裾野が広い開発者からの賛同を取りつけて批判をかわす狙いがあるとみられる。

 しかし、アプリ配信で生まれた収益の9割超をトップ1%の事業者が生み出しているとの米センサータワーの調査結果もある。アップルにとって「身を切る」ほどの手数料引き下げではない。エピックのティム・スウィーニーCEOは「我々は手数料の引き下げを求めて戦っているのではない」とツイッターに書き込み、「アップル独自の支払い手段が30%を課金していても、別の支払い手段やストアに対応していれば我々は喜んで戻るだろう」と、アップルが本質的な部分から目を背けていることを批判した。

最後に

 ここまで、オンラインゲーム、フォートナイトの概要とその運営を行うエピックゲームズについて、そして同社とアップルをはじめとしたプラットフォーマーとの対立について紹介してきた。今回の対立から読み取れるのは、プラットフォーマーが強大になりすぎているということだ。今後、ゲーム業界に限らず、さまざまな分野で企業がプラットフォーマー勢に反旗を翻す可能性もある。今後の動向に注目だ。

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