ビル・ゲイツ氏は、マイクロソフトの共同創業者兼元会長兼顧問で、IT業界のアイコンとして知られている。本記事では、同氏の経歴やマイクロソフトでの取り組みを、過去の記事を参照しながら紹介していく。

ビル・ゲイツの経歴

 ビル・ゲイツ氏は、1955年10月28日にシアトルで生まれた実業家・プログラマー。ソフトウエアを開発・販売する、マイクロソフトの共同創業者兼元会長兼顧問で、スティーブ・ジョブズと同様、IT業界のアイコンとして知られている。

 1985年にパソコン用OSのウィンドウズを発売。1990年にウィンドウズ向けのオフィスソフトとしてマイクロソフトオフィスを販売し市場を席巻した。また、1995年にウェブブラウザーのインターネット・エクスプローラーをリリースしたが、現在は開発を中止している。

 そんなマイクロソフトは、一時はGAFAにIT業界の盟主の座を奪われたかに思われていたが、時価総額はここ数年で約4倍に成長。復活の兆しを見せている。

ビル・ゲイツ「マイクロソフトが産業史に残した成果」

 そんなIT業界のアイコンであるビル・ゲイツ氏は、ITによって、世界中の売り手と買い手が直接つながる「摩擦のない資本主義」の到来や、コンピューター同士がつながる未来を予測していた。本記事は、本誌が2002年に実施した、同氏へのインタビューだ。

 このインタビューでビル・ゲイツ氏は、自身のソフトウエアを作ることへの情熱を、以下のように述べている。「素晴らしいソフトで人々の生活を向上する手助けができると思ったら、すぐに新しいことに飛びつきたくなる」。

 さらに同氏は、机の上にある電話にしてもソフトウエアの力でパソコンの中に取り込むことができれば、世の中はもっと便利になると述べる。これはまるで、未来を予想したかのような発言だ。ビル・ゲイツ氏の鋭い洞察力が、このことからうかがえる。

ゲイツ氏の「ロボットに課税する」は正しいか

 ビル・ゲイツ氏は、2017年のあるインタビューで、「人間の労働に取って代わる、ロボットの労働に対して課税をすべきだ」と発言して注目を集めた。つまり、人間は収入に応じて所得税を課されているのだから、人間に代わってロボットが同じ質・量の労働をするなら、ロボットの労働に課税するのも「あり」なのではないかという趣旨である。ビル・ゲイツ氏は、荷物を運搬するドライバーや、倉庫の管理、清掃などといった仕事は今後20年ほどでなくなり、人工知能を搭載したロボットがその仕事を担うだろうという考えを示している。

 背景には、人工知能を搭載したロボットの導入が今後一気に進めば、人間の大量失業につながる可能性があり、社会が不安定になるその移行期間を何とかうまく乗り切らねばならないという、ビル・ゲイツ氏なりの懸念があるのだと推察される。ロボットを活用する企業から徴収した税金を、大勢の失業予備軍の人たちの新たな職業訓練に充当しようという狙いである。今から備えておく必要があると言うのである。

ビル・ゲイツ支援の次世代原発、米中貿易戦争でピンチに

 2018年にビル・ゲイツ氏が自身のブログに書いたある投稿も、注目を集めた。そのタイトルは”“What I learned at work this year”。難病の治療や気候変動など、同氏が深い関心を寄せるテーマについて論じたものだった。

 この中に、興味深い内容が書かれていた。ビル・ゲイツ氏が実質的なオーナーを務める米テラパワーの中国プロジェクトが頓挫するかもしれないという内容である。テラパワーは次世代型原子炉、TWRの開発を進める原子力ベンチャーとして知られていた。商用原発で主流の軽水炉に対して、劣化ウランを燃料に使うTWRは低コストで安全性が高く、核廃棄物も減らせるという点から、ビル・ゲイツ氏はTWRを高く評価。資金調達に手を貸すなどテラパワーを積極的に支援していた。

 このTWRを実用化するにあたり、重要な役回りを演じていたのが中国だった。テラパワーは実用化を加速させるため、2015年に中国の国有企業、中国核工業集団と合弁会社を設立。北京から200キロほど南に下った河北省滄州市でテスト用原子炉をつくることで合意した。ここで実績を作り、世界の原発市場に打って出ようとしたのだ。ところが、当時のトランプ政権の米中貿易戦争によって状況は一変してしまう。

ソニーとMS、ゲームで共闘 「本気」のグーグル迎撃

 2019年、マイクロソフトは、強大な「挑戦者」を迎え撃つため、ソニーと手を組んだ。

 両社は当時、家庭用の据え置き型ゲーム機を中核にしたゲーム事業では競合関係にあった。ソニーは米子会社のソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)を通じて「PlayStation(プレイステーション)」を、マイクロソフトは「Xbox」を手掛けていた。

 そんな両社がタッグを組んだ背景には、クラウド型のゲームの台頭、そして同分野に満を持して乗り出してくる米グーグルの存在が。グーグルは2019年3月、クラウドゲームの配信基盤「Stadia(スタディア)」を投入すると発表。年内に米国とカナダ、英国、欧州でサービスを始めるとした。

プラットフォーマーの命運 マイクロソフトが勝てぬ理由

 米ハーバード経営大学院のデビッド・ヨフィー教授は、当時なぜマイクロソフトは、グーグルに押されていたのか、その理由を述べる。

 同氏は、マイクロソフトのブラウザー、インターネット・エクスプローラーを例に挙げる。インターネット・エクスプローラーはかつては90%程度の市場シェアがあった。しかしマイクロソフトは投資をやめ、技術開発をストップした。このことが、グーグルクロームにとって、非常に有利になったという。

 ヨフィー教授によると、プラットフォームビジネスは、たとえ一度勝ったとしてもそのポジションを維持するには条件があるという。それは、プラットフォームに投資し続けることだ。勝者総取りを続けるには、ユーザーを巻き込み続け、無限に変化し続けなければいけない。マイクロソフトは、この点を見誤ったのだ。

マイクロソフトの復活 見えない明日に挑む呪文

 しかし、そのマイクロソフトが今、復活している。時価総額はここ数年で約4倍になり、GAFAをも上回る躍進を見せた。けん引しているのは、3代目のサティア・ナデラCEOによる「ウィンドウズ帝国の破壊」だ。基本ソフトのウィンドウズで収益を得るこれまでのビジネスモデルを根本から転換し、新しい会社となったのだ。

 我が子のように育てたウィンドウズの更新が無償化されるなど、これまで血道を上げた方針を大転換することに対し、ゲイツ、バルマーの両氏には複雑な思いがあったはずだ。しかしふたりは、改革をナデラ氏に委ねた。ふたりのマイクロソフト愛が、ノスタルジーを断ち切ったことで復活劇は実現したのだ。


最後に

 ここまで、ビル・ゲイツ氏とその経歴やマイクロソフトについて、過去の記事を参照しつつ紹介してきた。同氏は、マイクロソフトの創業者、そしてIT業界のアイコンとして知られている。数多くのソフトウエアを世に放ってきた同氏は、ソフトウエア開発に強い情熱を持つ人物だ。また、ビジネス以外にも環境保全活動や慈善活動も積極的に行っている。そんな同氏の動向から、今後も目が離せない。

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