国内第3位の規模を誇る航空会社、スカイマーク。一度は経営破綻・上場廃止を経験したものの、ANAホールディングスの支援を受けて回復。2022年12月には東京証券取引所に再上場した。今回は深刻な経営不振に陥った14年以降の同社の歩みを過去記事から紹介する。

国内第3位の航空会社「スカイマーク」

 スカイマークは、日本航空(JAL)、ANAに続く国内第3位の航空会社。1996年に低運賃の新規航空会社として開業し(当時はスカイマークエアラインズ)、98年9月に羽田―福岡間で就航した。現在は札幌や名古屋、那覇といった主要都市を含む12空港に就航している。

 開業からわずか4年(2000年)で東証マザーズ上場を果たすなど順調に成長していたスカイマークだが、15年に経営破綻し、上場廃止となる。その後はANAホールディングス(HD)の支援で民事再生手続きを進め、経営再建に成功した。

 近年は他の航空会社と同様に新型コロナウイルス禍で売り上げが落ち込んだものの、5年連続の定時運航率1位(22年7月)や2度目となる顧客満足度1位(22年11月)を獲得するなど順調だ。また22年12月には東証グロース市場に再上場を果たした。

 この記事では波瀾万丈(はらんばんじょう)なスカイマークの経営の足跡を過去記事から振り返る。

膨張

 成長を続けていたスカイマークは、2014年度をめどに国際線への参入を目指し、世界最大の旅客機A380の購入計画を進めるなどその経営は順調に見えた。しかし西久保慎一社長(当時)の目算は外れ、同社の経営は次第に悪化の一途をたどっていった。

我々だって安泰ではない

 その後、スカイマークは2015年に経営破綻。民事再生計画を目指す同社のスポンサーとなったのは、ANA HDだ。ANAの片野坂真哉社長(当時)は、スカイマークへの最大の支援は「安全面サポート」だと語る。

明るい現場 抑圧からの解放

 経営破綻したスカイマーク。西久保愼一社長の退任後、再建中にもかかわらず同社の雰囲気は明るくなったという。社長であると同時に大株主でもあり、「その方針に誰も反論できない」西久保氏は「良くも悪くも太陽のような存在だった」と同社の幹部は振り返る。

スカイマークに再び暗雲 利用者が急減、資金繰り盤石と言えず

 民事再生を果たしたスカイマークをコロナ禍が襲う。2020年5月の段階で「思っていた以上のスピードでキャッシュが流出している」(佐山展生会長・当時)といい、20年4月に予定していた東京証券取引所への再上場申請も取り下げた。

スカイマークが破綻以来の重大局面に 営業赤字300億円、債務超過も

 2021年に入ると状況はさらに悪化。3月期の営業損益は300億円程度の赤字となり、15年の破綻以来もっとも危機的な状況となった。佐山会長(当時)は「我々は選ばれる航空会社だ」と語り、コロナ禍で29.5%(2月)に落ち込んだ就航率を、一気に97.4%(3月)に引き上げた。

債務超過回避のスカイマーク、JAL・ANAと異なる現在地とは

 2021年3月期決算の営業損益で316億円の赤字を出したスカイマーク。だが純損益は163億円の赤字にとどまり、債務超過は回避された。コロナ禍で航空会社全体の赤字が続く中、ANAやJALよりも早いタイミングでの黒字化も期待されている。

スカイマーク、ワクチン効果待つ「つなぎ」の資本増強

 2021年のお盆シーズン、スカイマークの予約数は前年比60%増となった。30%増のANAや14%増のJALと比べると回復の早さが際立っている。好調の秘密は「値付け」と、同社が「実質国内専業」であることだ。

最後に

 成長と破綻を繰り返してきたスカイマーク。経営再建後もコロナ禍で厳しい局面が続いたものの、2022年末に再上場を果たすなど再び好調を取り戻している。とはいえコロナ禍はまだ収束しておらず、油断はできない。この先、同社がかつての勢いを取り戻していくのかどうか、引き続き注目していきたい。

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