個人がインターネット上のプラットフォームで発信し、収益を上げるクリエーターエコノミー。ブログや動画共有サイトなどと共に発展してきたクリエーターエコノミーは、すでに日本円で10兆円をはるかに超える市場規模となっている。今回は過去記事を通して、これらの事例を紹介していく。

個人の表現が収益を生む「クリエーターエコノミー」

 クリエーターエコノミーとは、個人が「クリエーター」として自身の表現を発信し、それによって収益を上げる「経済圏(エコノミー)」のことを指す。クリエーターエコノミーはインターネット上の各種プラットフォーム、例えば、YouTube、Instagram、TikTokなどと共に誕生し、発展してきた。2021年5月時点の市場規模は1042億ドルに達するという調査もある。

 この記事ではクリエーターエコノミーの代表格とされるユーチューバーをはじめ、TikTokやNFT(非代替性トークン)の事例、クリエーターエコノミーに参入しようとするTwitterの動きなどを過去記事から紹介していく。

世界で有料版を開始 次の10年へ新たな賭け

 クリエーターエコノミーの代表とされることも多いYouTube(ユーチューブ)。2012年に「一定の再生回数を超える動画投稿者が広告収入の一部を受け取れる」というルールが導入されたのをきっかけに、動画投稿者(クリエーター)が急増。ユーチューバーの誕生につながった。

「仮想」のアイドル、バーチャルユーチューバー増殖

 クリエーターエコノミーの一角を占めるのが、バーチャルユーチューバー(Vチューバー)と呼ばれる仮想アイドルたちだ。中には「キズナアイ」のようにシングル曲をリリースしたり、国の観光事業の訪日観光大使に起用されるなど、本物のアイドルと同様に活躍の場を広げている例も少なくない。

中国発アプリ「TikTok」が日本でもウケた背景

 クリエーターたちに人気のプラットフォームの一つがTikTokだ。数秒から十数秒程度の「ショート動画」と呼ばれる動画を配信するサービスだが、開発元のある中国はもちろん日本でも大きくヒットし、新たなクリエーターエコノミーのプラットフォームとなっている。

夫の不倫、老後の空虚…「ライブ配信」に救われる人々

 動画配信サービス上で活躍するクリエーターたちの中には「ライバー」と呼ばれる人たちもいる。ライバーたちはスマートフォンでトークや歌を自撮りし、それをライブ配信することで視聴者から「投げ銭」を受け取る。ライバーの国内市場全体の規模は、2018年7~9月期で約51億2100万円に上ったという。

つぶやき1つに3億円、次のバブルはデジタル資産「NFT」?

 近年注目を集めるNFTもクリエーターエコノミーを支えている。NFTとは「ブロックチェーン(分散型台帳)」という技術を使い「所有の真正性を証明」するもので、実態のある「物」だけでなくデジタル情報も対象となる。たとえば米ツイッターの創業者ジャック・ドーシー氏の初ツイートが「約291万ドル(約3億2000万円)」で売買されたのもその一例だ。

Web3時代はアーティストの 「株主兼ファン兼友人」になれる

 特定のプラットフォームに情報が集中しない「Web3.0」では、クリエーターエコノミーにおけるNFTの重要性はさらに高まる。たとえば曲を購入する場合、リアルの世界や従来のWeb2.0までの世界では「CDショップ」や「音楽配信サービス」から購入するが、Web3.0ではNFTを利用して、クリエーターから直接購入しやすくなるためだ。

悩めるマスク氏、ツイッター「広告依存からの脱却」なるか

 イーロン・マスク氏によって買収されたツイッターがクリエーターエコノミーへの参入を検討しているという。まずは長い文章や長尺動画の投稿を可能にし、決済システムの導入や各種サービスとの連結を段階的に導入することで独自の経済圏を構築したい考えだ。

最後に

 クリエーターエコノミーは従来のBtoC(消費者向け)ではなく、個人と個人のやりとりで構成される経済圏だ。売買の対象となるのは「個人の表現」であり、そこではだれもが売り手(クリエーター)になりうる。クリエーターエコノミーの発展は従来の企業に対しても大きな影響を与えるものとなるだけに、その市場拡大の行方と新たな展開に引き続き注目していきたい。

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