Jアラートとは、ミサイルの飛来や、地震や津波といった緊急情報を全国民に伝える警報システムのこと。全国の自治体が持つ防災行政無線と連動して、瞬時に、自動で情報を伝達するのが特徴だ。今回はJアラートと、Jアラートで注目されるミサイル問題などについて過去記事から振り返る。

北朝鮮によるミサイル発射で注目される「Jアラート」

 Jアラートとは、消防庁が地方自治体と連携して整備する「全国瞬時警報システム」のこと。弾道ミサイル攻撃や地震、津波といった脅威に関する緊急情報を人工衛星や地上回線で自治体に送信し、市町村防災行政無線を自動起動して「瞬時に住民等に伝達する」ことを目的としている。

 Jアラートの運用が始まったのは2007年のこと。当初は北海道や長野県など10都道県と岩手県釜石市など4市町で運用が開始され、その後2014年4月に受信機が、2016年5月には自動起動装置が全市区町村に整備された。

 気象に関する緊急情報でも利用されるJアラートだが、特に注目を集めているのが「ミサイル発射情報」や「ミサイル通過情報」だ。近年は北朝鮮によるミサイル発射が頻発していることもあり、Jアラートによる警報を耳にすることも多い。

 この記事ではJアラートやその背景にある北朝鮮のミサイル問題、さらには日本を取り巻く安全保障に関する話題を過去記事からピックアップしていく。

有事勃発、そのとき日本は

 Jアラートが整備された背景には北朝鮮による脅威がある。とはいえ北朝鮮がミサイルを発射してから日本に着弾するまでの時間は「わずか数分」。自衛隊がミサイルを迎撃するとはいえ完璧ではない。実際に核を含む多数のミサイルが日本に発射された場合、死者数は40万人弱、負傷者数は150万人を超えるという予測もある。

北朝鮮ミサイル襲来、生きるためにすべきこと

 現代版空襲警報とも言えるJアラートには、こうした人的被害を少しでも抑える役割が期待されている。ミサイルの発射情報は自治体が設置したサイレンや携帯電話の緊急警報を通して伝えられるが、時間的な余裕はほとんどないため警報直後の「行動」を考えておくことが重要だ。

北朝鮮のミサイル、“目標”はあくまで米国

 日本海に向けて頻繁に発射されるミサイル。だが北朝鮮が実験を繰り返す中距離弾道ミサイル(IRBM)は日本を狙ったものではないという。射程の長い弾道ミサイルの標的は「米国」だ。とはいえ北朝鮮には日本などを射程に収める準中距離弾道ミサイル「ノドン」もある。

Jアラートで我々は何を警戒すべきなのか

 Jアラートに対しては、「着弾の数分前に警報を出しても逃げられない」という批判もある。とはいえミサイルが直撃しない限り、たとえ数分とはいえ「最寄りの、身を守れそうな場所に移動する」あるいは「身を守る体勢を取る」ための時間稼ぎには意味がある。

北朝鮮が兵庫県の防災アプリ開発、日本で軍備費荒稼ぎ

 Jアラートには北朝鮮の脅威から日本国民を守るという目的がある。しかしそのJアラートの一部となる自治体システムの改修に「北朝鮮のIT技術者」が関わっていたというニュースが注目を集めている。実際には中国に住む北朝鮮籍のIT技術者が身分を隠して受注していたものだが、FBI(米連邦捜査局)によると同様の手口は北朝鮮の外貨獲得手段になっているという。

台湾有事は日本企業の有事

 日本の安全保障をめぐる課題は北朝鮮のミサイルだけではない。中国による台湾への軍事侵攻が実際に発生した場合、台湾に住む日本人の退避支援や難民の受け入れ、エネルギー輸送経路の遮断など、日本も有事の当事者として巻き込まれることになる。

有事に備えよ、これで企業は守れる

 日本をめぐる様々な「有事」に備えて、家庭用シェルターが売れているという。また企業の中にも有事に備えて行動計画を策定したり、備品を用意したりする動きがある。

最後に

 日本国民の安全を守るという目的で整備されたJアラート。北朝鮮のミサイルだけでなく、いずれは中国やロシアといった近隣国からの脅威を伝える日も来るかもしれない。警報を聞いたらどのように行動すべきか、今のうちからしっかり考えておきたい。

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