互いに協力し、個々の力をかけあわせて相乗効果を生み出すのが「チームワーク」だ。変化の激しい現代において、チームワークはビジネスを成功させるカギとしてどう機能するのか。ここでは過去記事を通して、チームワークのメリットとビジネス現場への導入のポイントを紹介する。

チームワークとは

 「チームワーク」とは、集団に所属するメンバー同士が協力し合いながら共通の目的を遂行すること。大人数が単純に同じ作業を行う場合と比較して、1+1=2になるのではなく、相乗効果によるプラスアルファの成果を期待できるのが特徴だ。

 企業ではチームワークに対抗する概念として「成果主義」があるが、個人の能力を競う成果主義では互いの情報共有が行われにくく、後進が育たない、全体の士気が上がらないといった弊害が指摘されている。

 チームワークが上手に活用されている組織では、こうしたデメリットが存在しないだけでなく「ビジネスサイクルの短縮化」や「変化に応じた新しいアイデアの発掘」が実現されているという。

 今回の記事ではチームワークの導入で成功を収めている企業の事例や、成果主義をビジネスに取り入れるポイントなどについて、過去に掲載されたトピックを振り返っていく。

経営者に知ってほしい、成果主義が失敗する理由

 最初に紹介するのは、チームワークの対抗概念となる「成果主義」のデメリットだ。なおこの記事では、成果主義の概念を『目に見えやすい「短期」のかつ「個人」の成果と報酬を明確に連動させるインセンティブ体系』と定義している。

 このような成果主義の「失敗」として挙げられるのは、個人が目先の利益に気を取られて「組織の長期の目標と対立」するという事例だ。たとえば「ガソリンスタンドでの過剰な勧誘」「住宅販売ノルマを達成するための情報操作(情報の秘匿)」などが挙げられる。

 また個人の成績を重視するあまり「個人とチームの対立」、つまり互いの足の引っ張り合いが発生することもあるという。

マクアケ中山社長「着地点がずれてもいい、超高速で進もう」

 これに対しチームワークが根付いている企業では、組織としての成長速度や社会の変化への対応速度が速く、結果として強い組織がつくられている。

 たとえば創業6年半で上場を果たしたマクアケの場合、「普通なら10人必要な仕事が2人でできたり、半年かかる仕事が1カ月でできたりする」という(創業社長・中山亮太郎氏)。

 マクアケのチームワークが機能しているのは、社員一同が同社のビジョン「生まれるべきものが生まれ 広がるべきものが広がり 残るべきものが残る世界の実現」や、社長の中山氏が掲げる「時速300キロ理論」(「着地点がずれてもいい、超高速で進もう」という概念)を共有しているためだ。

起業のリアル 仲間、資金、顧客が全て

 2016年に創業した宇宙関連のスタートアップ、インフォステラ(東京・品川)。「人工衛星と通信する地上アンテナのシェアリングサービス」の分野で、同業者の10分の1という低コストサービスを武器にしている。

 これを可能にしたのが同社の持つチームワークだ。アイデアと情熱を持つ創業者の倉原直美氏、EC関連のスタートアップや宇宙関連の情報サイト設立を手掛けてきた石亀一郎氏、無線機メーカーのトップとして豊富な経営経験を持つ戸塚敏夫氏…この3人のチームワークが出資者たちに高く評価された。

 16年秋に500スタートアップス・ジャパンなどから6000万円、17年9月には欧州エアバスやソニー傘下のCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)から8億円の調達に成功した同社。2020年現在も、事業拡大が続いている。

待ったなしの障害者雇用 成功のカギは「連携」

 チームワークの導入は障害者雇用の分野でも成果を上げている。不動産業大手の東急リバブルでは、障害を持つ社員たちが本社に勤務し、「郵便物の社内配布や伝票の照合、アンケートの集計といったデータ入力」業務に就いている。

 当初は「どこまでお願いしていいか迷った」(人事部給与厚生課・田窪摩耶氏)ものの、社員たち自らが「作業のミスを共有し、新しい仕事を効率的に進めるために何ができるか話し合う」などのチームワークを発揮し、現在では「他部署の社員とのやり取りも問題なくできるようになった」という。

エステーの「温かな企業風土」に危機感

 一方で、単なるチームワークだけでは不足と考える経営者もいる。エステーの鈴木貴子氏(同社取締役兼代表執行役社長)もその一人だ。

 鈴木氏が入社した2010年当時、エステー社内には「愛社精神にあふれチームワークを大切に仕事に励む」雰囲気があったという。しかし、そうした温かな空気に危機感を覚えたという同氏。その理由は「互いを思いやるあまり、他の社員と異なる意見を言い出しにくい空気がある」というものだった。

 企業として成長するには「出る杭(くい)を伸ばす」ような人材教育が必要と考えた鈴木氏は、「チームワークに優れた社員の良さを生かしつつ、競争心を育む」ことを意識した。若手社員たちに自己PRのチャンスを積極的に与え、中堅社員には研修の機会を設け、シニアの給料をアップする制度をつくるなど、さまざまな社内制度改革を通してイノベーションの実現を目指しているという。

リモートワークは効率悪い?チーム力を高める秘策とは

 新型コロナウイルスの感染拡大がきっかけとなり、全国の企業に広まりつつあるリモートワーク。これに対し、リモートワークはチームワークに悪影響を及ぼすという指摘がある。しかし楽天大学学長の仲山進也氏は、こうした意見には「誤解がある」と語る。

 同氏によると、リモートワークでチームがうまく機能しないケースの中には、「リモート」がうまくいっていない場合と、そもそものチームワークがうまくいっていない場合があるという。

 リモートが問題となっているのであれば、解決策は豊富だ。たとえばリモートによるパフォーマンス低下が問題なら、全員がそれを「成長に必要なプロセス」と捉えるようにすればよい。リモートをする社員の「後ろめたさ」が問題なら、「全員リアルに集まってはいけない」「全員リモートで働きながら、今までと遜色ない成果を出すこと」といった制約や目標を設けることも効果的だ。

 他にも「リモートの寂しさ」を解消するためにチャット機能付きの「仮想オフィス」を構築したり、「みんなで一緒に試行錯誤する」ことを意識するなど、工夫できることはたくさんある。

最後に

 メンバーが互いに力を合わせ、組織の力を高める「チームワーク」。創業期のベンチャーから伝統的な大企業まで、多くの企業にとってメリットの大きいビジネススタイルだ。

 新型コロナの影響でリモートワークに踏み切る企業が増える中、これまで以上にチームワークを意識しつつ、それぞれの働き方を見直していきたい。

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