全2684文字

 「世間の皆様に不信感を与えてしまい、誠に申し訳ございませんでした。あらためて納税に対する意識、仕事のこと、自分自身のこと、しっかりと見つめ直していきたいと思っております」

 10月下旬、人気お笑いコンビ「チュートリアル」の徳井義実氏が設立した会社「チューリップ」が、東京国税局の税務調査を受けて2018年までの7年間、約1億2000万円に及ぶ税金を申告していなかった事実が発覚した。吉本興業やテレビ各局は、問題発覚直後こそ徳井氏をかばおうとするかのような対応を見せていたが、世論の反発を重く見てか、厳しい姿勢に転換。徳井氏はその後、芸能活動を自粛し、出演番組の差し替えなどが続いている。

税金の「申告漏れ」への世論の反発は大きく、徳井氏は芸能活動を自粛。出演番組の差し替えなども続く(写真:共同通信)

法人成りで節税は「伝統的手法」だが……

 徳井氏は、所属する吉本興業から支払われる「ギャラ」などをチューリップにいったん受け取らせ、同社から役員報酬の形で収入を得ていた。個人でなく法人で収入を受け取るのは、その方が様々な税制上のメリットがあるためで、それ自体は「極めて伝統的な手法」(国税庁OB)とされる。

 ただ徳井氏の場合、こうした「法人成り」(自営業者の法人化)による節税メリットを享受するという次元ではなく、09年の設立以来、期限内に税金の申告そのものをしていなかったという。

 報道によると、まずチューリップは09~11年度、期限内に確定申告せず、税務署からの指摘で12年6月に3年分を申告し納付。12~14年度も無申告を繰り返し、15年7月に申告するものの今度は納付をせず、16年5月ごろに銀行口座を差し押さえられた。

 さらに15年以降も同様に無申告だったため、遡って12年度からの7年分の申告漏れを指摘される事態になったという。重加算税などを含めた追徴税額は約3700万円に及ぶ(現在は納付済み)。