エレクトロニクス分野で世界の強者となったサムスングループの不安の種は、中国勢のキャッチアップだけではない。サムスンは、韓国の経済成長の中で税制をはじめとした国の支援を受け、自らの技術力を伸ばす独特の“協調”で強くなってきた。だが、その強みにも変化が起こりつつある。「オーナー独裁」と呼ばれた独自の経営システムに代わる仕組みを作れなければ、後続組に対抗する力を失いかねない。
ソウル近郊の牙山(アサン)市。かつてはのどかな農業地帯だったこの町は近年、サムスングループのパネル生産の一大拠点となっている。この「サムスンタウン」を10月10日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が訪問した。
出迎えたのは創業家3代目、サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長。「現実になったサムスンへの日中挟撃、『高付加価値品』逃げ切り図る」で紹介したように、大型テレビなどに使う量子ドット(QD)有機ELと呼ばれる次世代パネルの量産のために13兆1000億ウォンの大型投資を発表した。文大統領は「サムスンが韓国経済を主導していることに感謝したい」と述べたという。

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