12月12日に実施された英国の総選挙(定数650議席)は与党・保守党の圧勝だった。英メディアは開票が始まるとすぐに、出口調査を基に保守党が過半数を大幅に上回ると予測した。英時間午前8時(日本時間午後5時)時点ですべての開票は終わっていないが、既に保守党は過半数を獲得し、最大野党・労働党は大幅に議席を減らした。
いずれも歴史的な勝利と敗北になる。保守党はサッチャー政権時代の1987年以来の勢力を持つことになる。労働党が200議席前後となるのは戦後最小で、党のあり方を根本から見直す事態になりそうだ。
ジョンソン首相は国民の信任を受け、英国のEU離脱(ブレグジット)を進める。年内に現行の離脱案の審議に入り、2020年1月末にはブレグジットを実現する可能性が高い。ただし、20年末までは移行期間であるため、EUとの経済関係は変わらない。

ブレグジット党が保守党を後押し
総選挙の詳細な分析には時間がかかりそうだが、ブレグジット政策が各党の明暗を分けたのは間違いない。
保守党はEU離脱派の票を確実に押さえた。ジョンソン首相は「ブレグジットをやり遂げる」と連呼し、争点をブレグジットに絞り込む戦略を展開。保守党に対しては、経済格差の拡大や国民医療制度(NHS)の質の低下などの批判が根強いものの、国民の関心をブレグジットに向けさせることでその批判をかわした。選挙戦の序盤で、強硬離脱を主張するブレグジット党が、前回の選挙で保守党が勝利した選挙区での出馬を見送ったため、離脱派の票が保守党に集中した。
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