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ジャガイモの皮はむかなければならない

ブレグジットで英国は、EUから見て第三国になります。どのような規制対応が求められるのでしょうか。

 様々な規制対応が求められます。EUの規制では、原料をミックスした肉は冷凍して輸送しなければならず、冷蔵はいけません。ジャガイモは皮が残ったまま北アイルランドからアイルランドに送ってはいけません。EUの規制では皮をむかないといけないからです。また、食品などを搭載するパレットも加熱処理しなければなりません。ウイルスを死滅させるという目的からです。

 このような複雑さは許容できません。ですから我々は北アイルランドに関して、EUと同じ基準を適用してほしいと要望しています。

 北アイルランドから英本土など南東に輸送する場合は、アイルランドのダブリン港を使うのが最適です。その場合にどこでどのようなチェックを受けるかはクリアになっていません。我々がダブリン港を使えないと、英本土に農産物を運ぶ際の大きな障害になります。

 また、スペイン産のトマトは直接、英本土のドーバー港に輸入されます。その後、アイルランドに輸送されます。アイルランドに輸入される8割の生鮮食品は英本土経由で入るため、これはEUから英本土、EUという流れになります。これを逐一チェックすることになれば、とてつもなく複雑なルールになります。今の離脱案では決まっていないことがあまりに多いのです。

北アイルランドには広大な牧場が広がる

これまで支持した離脱案はありますか。

 メイ前首相の2つ目の離脱案は非常によかったので、我々は公式にその離脱案を支持していました。

 もともと我々はEUの規制を支持しています。EUの食品に関する基準は世界で最も厳しく、それはベストだと思っています。我々は安い食品を作りません。スケールメリットを出すには小さ過ぎますが、非常に高品質な食品を作ることができるのです。ですから我々は高い基準を歓迎し、それを独自のセールスポイントにしています。とても品質の高い牛肉やチーズ、環境に配慮した食品を作っています。

 英国には戦略やクリアな方針がありませんが、欧州の方針はとてもクリアです。欧州は食品の安全保障や品質を公共の利益と位置付けています。空気や水の品質、バターは公共財です。公共にとって大事なので、政府は投資するのです。英政府は、食品を公共財と位置付けていません。これは、とても間違っていると思います。 

 こうした違いは、ブレグジットの議論によってもたらされました。独バイエル傘下の米モンサントの除草剤「ラウンドアップ」の議論を知っていますか。米国ではガンを引き起こしたとして大きな訴訟になっています。EUはラウンドアップに強い懸念を抱いており、EU加盟国で使用を規制する動きが始まりました。しかし英国では規制されそうな気配は今のところありません。