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平均利益率が4%の食品業界に20%の関税

 北アイルランドの国境を越える物品のうち55%が食品関連です。これは輸出入のバランスが取れています。およそ8億点がアイルランドの北に向かい、約8億点が南に向かう。だいたい50億ポンド(約7000億円)がそれぞれの方向に運ばれ、バランスしています。アイルランドにとって、英国は最大の顧客です。

 ブレグジットがこの均衡を破壊しようとしています。我々のメンバーには何の利点もありません。別の場所に輸出すればいいと言うかもしれませんが、輸出の8割は英本土向けです。我々の電気や水は国境を越えてつながっており、1998年の和平の後に多くのモノを共有してきたのです。

北アイルランドとアイルランドの国境では、ひっきりなしにクルマが往来する (写真:永川智子)

具体的にはどのような事態を懸念しているのでしょうか。

 残念なことにブレグジットは国境で、2つの基準を適用しようとしています。それぞれで違ったサポートシステムを適用しようとしている。多くの理由で懸念があります。

 1つ目は関税です。北アイルランドの食品や飲料関連企業の平均的な利益率は4%です。合意なき離脱になれば、4%の利益率に対して、20%の関税がかかる可能性があります。クルマのような利益率の高い産業と違い、食品関連企業は利益率が非常に低いため、高い関税は受け入れられません。

 2つ目は鮮度の問題です。我々は、地元産ならではの鮮度で、高品質の食品を提供してきました。産地からおおよそ6日間で店頭に並びます。合意なき離脱でなくても、もし多くの書類チェックが必要になれば、6日間で届けるのは無理でしょう。

 例えば家畜類の輸出入に関する輸出健康証明書と呼ばれる文書があります。EUの法律の下で獣医が署名し、食品の安全性を立証します。これらの書類をチェックするためには、多くの人員が必要です。英国がEUから離脱するとチェック作業が増えますが、チェック体制を急に整えられるのでしょうか。