10万部を突破の『宇宙兄弟とFFS理論が教えてくれる あなたの知らないあなたの強み』、著者の古野俊幸さんが、『宇宙兄弟』の作者、小山宙哉さんに迫るインタビュー、後編です。前編はこちらから!
ムッタが一番成長したシーンは?
古野:『宇宙兄弟』は、主人公のムッタ(南波六太)が成長していく様子に共感する読者も多いと思います。最初ウジウジしてネガティブ思考だったムッタが、人との出会いやいろんな経験を通して頼もしく成長していきますね。それで小山さんにお聞きしたかったのですが、ムッタが一番成長したシーンはどこだと思いますか?
小山:どこだろう? 毎回少しずつ成長していると思うんですよ。常に何かに気づいて、自分の中で考えたり答えを出したりしているので、そのたびに少しずつ成長していると思います。一番というと、やっぱりあそこかな。自分と同じ夢を追いかける仲間に出会ったシーン。仲間が「ここにいたんだ」って。
それまでは宇宙について熱く語り合える仲間が(弟以外には)いなかったわけですから。「あ、ここにいたんだ」と気づいたときが、ムッタの中で一番成長したというか、人生が楽しくなった瞬間だと思います。
古野:それまで「宇宙」の話をすると、皆から“バーカ”と取り合ってもらえず、「誰にも本心を言えない状態」が続いていました。「自分のことを知ってほしい」「認めてほしい」と思うのは保全性なんです。「本心を隠し続ける」ことは、とても息苦しかったと思います。その結果「宇宙飛行士になる夢」からも目を背けるようになったんですよね。
「宇宙を語れる」仲間と出会ったことで、『誘ったら、喜んでついて来てくれそうな連中が、ここにいたんだ』というセリフは、受容性の特徴でもあります。
つまり、受容性と保全性の高いムッタは、仲間と同じ夢を共有し、お互いに切磋琢磨できる関係にあることで、日々楽しく過ごせて、しかも成長を加速させる仲間を手に入れたのだと思います。表情が少し大人になったと感じました。
古野:僕が注目したシーンは、ムッタが弟のヒビト(南波日々人。JAXA宇宙飛行士)に対して初めて「お兄ちゃんらしく」振る舞えた場面です。
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