『宇宙兄弟』のムッタも、同じような場面に遭遇していましたね。念願だった宇宙飛行士選抜試験の書類選考を通過し、面接に臨んだものの、最後に面接官から「最近、自分のことで何か発見したことは?」という、想定外の質問が飛んできます。とっさに口をついたのが、「みんなより、よくシャンプーが泡立ちます」という言葉。

 面接が終わって、同じく面接を受けた真壁ケンジと情報交換しているとき、優秀さと真面目さがにじみ出るケンジの模範解答を聞いて、ムッタは思わず“真っ青”になってしまいました。

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1巻 #7「南波日々人のお兄ちゃん」
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 このムッタの“失態”に、あるある、と共感した「保全性」の高い人も多いのではないでしょうか。

 面接でどんな質問をされるのか不安で、緊張してしまう。面接の基本は「事実ベース」ですから、学生時代に「してきたこと」、「そのとき、どう考えたか」を正直に伝えればいいのですが、「こんなふうに答えたら、どう思われるだろうか」と、面接官の反応も気になります。

 少しでも自分をよく見せるために、カッコ付けようとか、辻褄を合わせようとすればするほど、慌ててしまい、「保全性」の本来の良さである、「慎重」「丁寧」「計画性」が発揮されません。その人の魅力が伝わりにくくなるのです。

 では、想定外の質問へは、どのように対策すればいいのでしょうか。

 これについても、「保全性」の高い人は、事前準備をしっかりして乗り切るのが一番です。就活に限らず、あらゆる場面で不安を払拭するために必要なことは、「一にも二にも準備」と覚えておきましょう。

ムッタはいかにして教官のムチャ振りに対応したのか

 面接で話したいガクチカのエピソードだけでなく、あらゆる想定質問に対して準備しておくのはもちろん、家族や友人に面接官役になってもらって、模擬面接を試みてみるのもお勧めです。準備に十分な時間をかけて、「これだけ対策したから大丈夫」と思えれば、「保全性」の高い人も心に余裕を持って面接に臨めるはずです。

 慎重であるがゆえの強みを、就活においても遺憾なく発揮してください。そうすれば、就活がうまくいく確率もアップするでしょう。

 最後にもう一度、ムッタに登場してもらいましょう。あんなに自己肯定感が低く、劣等感の塊だったムッタが、今では宇宙飛行士として大活躍しているわけですが、彼がなぜ変わることができたのかといえば、「保全性」の強みを活かすようになったからだと思います。

 ムッタが万全の準備で想定外の出来事に対応し、成長していったエピソードがあります。アスキャン(宇宙飛行士訓練生)時代、飛行機の操縦を習った教官のデニール・ヤングの指導法は、あえて難易度の高いタスクを次から次へと与える、というものでした。要するにムチャ振り、無理難題です。このムチャ振りや無理難題に、最初ムッタは翻弄され、心身ともに消耗してしまいます。

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13巻 #125「一流のパイロット」
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 ところがある時点から、ムッタはデニールの規格外の指導を楽しむようになっていきます。それはなぜかといえば、訓練後にその日の飛行をシミュレーションしながら振り返り、できたことを確認し、それらを積み上げていくことで、できることの範囲を広げていったからです。いろんな状況を予測して準備することで、安心して対応できる「枠組み」を広げ、突然のムチャ振りにも先回りして対応できるようになっていくのです。宇宙飛行士に必要な、マルチタスク能力が鍛えられたのですね。

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13巻 #126「デニール化」
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 ムッタの飛行訓練を、就活の面接に置き換えれば、「万全な準備をすれば、想定外の質問にも落ち着いて答えられるようになる」ということになりますよね。

 「保全性」の高い人にとって、「安心できる枠組みを広げる」ことは、「引き出しを増やす」ことに例えられます。今後、社会人になって仕事をする際、「引き出しが多い人」は、初めて挑戦することであっても、「あのときのあれが、使えそうだ」と応用することができます。

 つまり、慎重に、コツコツと地道な努力によって広げてきた「枠組み」は、「保全性」の高い人がさらに前に進んでいくうえで、“武器”になるのです。

© Chuya Koyama/Kodansha
(構成:前田 はるみ

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8巻 #71「公園におっさん2人」
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