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NASAのベテラン宇宙飛行士、ブライアン・J(右)と、彼の薫陶を受けた日本人宇宙飛行士、吾妻滝生(左)

パワハラか、それとも責任感か?

 部下に任せた仕事がうまくいかなかったとき、あなたならどうしますか?

 「大丈夫? 問題があればいつでも相談して」と部下に助け舟を出しながら、部下が自分で問題を乗り越えられるよう忍耐強くサポートする。これが、イマドキの上司に求められる姿勢かもしれません。

 ごくまれに、「お前、やらなくていいよ」と仕事を取り上げる上司がいます。本人に悪気はなく、むしろ上司としての責任感から出た言葉であることも多いのです。

 しかし、仕事を取り上げられた部下は傷つきます。自分の能力を否定された、もしくは存在を否定されたと感じるからです。相手がラインの上司ともなれば、立場を利用した高圧的な態度に感じられることもあります。部下がしかるべき部門に通報すれば、「パワハラ」と認定されるかもしれません。

 最近、この手の相談が増えています。

 「高圧的な態度で仕事を取り上げられた」と感じた部下の訴えによって、上司に「パワハラ疑惑」がかけられる。その結果、賞罰の対象になった上司が「私がやったことって、本当にパワハラだったのでしょうか?」と、相談に来られるわけです。

 こういう相談をしてくる人の個性をFFS理論で分析すると、共通して「凝縮性」が高いことが分かりました(FFS理論について詳しくはこちら。開発者は小林惠智博士)。

 「凝縮性」は、人の個性を構成する5つの因子のうちの1つで、「何々すべきだ」や「こうあるべきだ」といった価値観の強さを表します。

 一般的に「凝縮性」の高い人は、明確な価値基準があり、主義・主張がはっきりしています。責任感や正義感の強さも「凝縮性」の特徴です。

「凝縮性」は日本の社会では希少な個性

 実は日本では、「凝縮性」の高い人は極めて少数です。

 日本企業の風土は、価値観や規範などを「決めつける」ことが少なく、なあなあな空気に流れがちです。その中で、「責任を取ります」とか「これが正義です」などとキッパリと言い切る人は、「波風を立てる人」と、マイナスの評価をされてしまいがち。

 「凝縮性」の高い人は、その絶対数の少なさから、周囲になかなか理解されにくい個性の持ち主なのです。

 このタイプの上司に出会うことが少ないので、部下も心中を推し量ることが難しく、言われたことをそのまま受け止めて、ダメージを受けてしまうわけです。