難しい課題ほどワクワクする

 「拡散性」の高い人は、取り組むべき課題が複雑になってきたり、答えのない課題に直面したりすると、がぜん興味を示すようになります。面白いから時間も忘れて没頭します。ただし、「努力している」と思われたくないので、他人に隠れて練習して、表では涼しい顔を装うのです。

 「宇宙飛行士になる」というヒビトの夢は、簡単に手が届くものではありませんでした。だからこそ、彼の興味が尽きることがなかったのです。ヒビトが中学生になった頃から、「もっと早く宇宙に行きたい」と勉強に加速がついたのでしょう。

 一方、第1回からご紹介しているように、我らが主人公ムッタは、FFS理論における「保全性」が高いタイプ(これは日本人の6割以上を占めます)。このタイプの学習スタイルは拡散性が高いタイプとは対照的です。

 事前に資料を読み込んでから、全体像を把握したうえで、一つひとつ慎重かつ確実に積み上げていこうとします(保全性が高いタイプの特徴、弱点、戦い方は第1回参照)。

 積み上げ型のムッタが、興味のおもむくまま勉強に没頭するヒビトを見て、「突然成績が良くなった」と感じるのも仕方ないのです。

 ムッタはまた、少年時代のヒビトのことを「頭のネジが一本足りない」と語っています。

 それを象徴する出来事がありました。「UFOが撮れた!」と、ヒビトはムッタの誕生日にUFOの映像をプレゼントします。「UFOを目撃したのなら証拠を見せろ」とムッタをいじめる友達を見返すためです。兄思いのかわいい弟なのです。

 ところが、ムッタが映像を見てみると、ニセモノであることがバレバレでした。ヒビトの机の下からは、手作りUFOとそれをつるす釣りざおも出てきました。

 誰もニセモノだとは思わないだろう。本気でそう思い込めるほど抜けている――。ムッタはヒビトのことをそう思っていたのです。

[画像のクリックで拡大表示]
6巻#54「ドーハのきせき」
6巻#54「ドーハのきせき」
[画像のクリックで拡大表示]

 「抜けている」ように見えることも、「拡散性」が高いタイプの特徴の一つです。

 「拡散性」の高い人は一点に集中しやすく、枝葉末節は気にならないというか、見えなくなります。また、興味の対象がピンポイントになると、突拍子もない行動に走ることもあります。それが周囲からは「こんなことになぜ気が回らないのか」と、抜けているように見えるのです。

次ページ すれ違いが生んでしまう不幸な関係