ヒビトは、勉強嫌いだった!?

 「拡散性」とは、人の個性を構成する5つの因子のうちの一つで、「現状を変えていく力」につながっています。

 「拡散性」の高い人は、失敗することを厭わないので、まずやってみます。
 失敗しても気にしません。またすぐにやります。
 うまくいっても、同じことは繰り返したくないので、次は違うやり方で成功させようとします。

 何度かやるうちに、「なるほど、こんなことか」と物事の全体像を概念的に理解していきます。つまり、一つひとつを正解と照らし合わせて確認し、絶対的な結論に導こうとする演繹法的なアプローチではなく、仮説・検証を繰り返す帰納法的なアプローチです。

 概念的な理解を好むので、「細かいこと」はつまらなく感じます。特に、小学校低学年クラスの授業で取り組むテーマや課題に対しては、「こんな小さなことはどうでもいいんじゃないの」と思いがち。また、「答えがある質問」もつまらないので、「なんで答えは一つなの?」と疑問を持ち出したりします。

 興味を持てないから、勉強しない。それで答えを間違えても、周囲の評価に無頓着なので、気にしません。子どもの頃のヒビトが「勉強嫌い」に見えたのも、そういうことでしょう。

 「とりあえずやる」という「拡散性」の特性がよく表れている『宇宙兄弟』のシーンがあります。

 宇宙飛行士になったヒビトが、月面に宇宙基地を造るためのミッションクルーに選ばれ、月に飛び立つ直前のことです。月面で使う重機の操作を覚えるため、クルー全員で操作マニュアルを読もうとしていたところ、ヒビトはマニュアル本をパタンと閉じて、「やった方が早い」とすぐに動き出したのです。

 事前にマニュアルや手順書を読んで準備するよりも、「とりあえずやろう」と動く。これがヒビトなのです。

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5巻#46「芝刈り男と砂掛け男」
5巻#46「芝刈り男と砂掛け男」
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 では、勉強嫌いのヒビトは、なぜ勉強ができるようになったのでしょうか。

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