全4974文字
2巻#12「コロコロムッタ」

 一心不乱に情報を集めることは、「保全性」の高い人にとっては有効な方法です。

 というのも、「保全性」の高い人は、何か問題が起きると、過去に積み上げた知識や情報で解決しようとします。いつか問題が起きたときのために、できるだけ情報を集めておきたい、という心理が働きます。

 今は何の役に立つか分からなくても、いずれ役に立つかもしれない。情報は、多いに越したことはありません。だから、情報で満たされていると「取りあえず(少しは)前に進んでいる」気持ちになって、安心できるのです。

 実際にムッタの場合、新聞やテレビから手当たり次第に仕入れた情報の断片が、役に立ったこともあります。ヒューストンに滞在中、新聞で読んだ「消火器男」の情報が、その後の事件解決に少しだけ役立ちました。

 また、頭の中を“情報洪水”にすることで、考えたくないことを考えずに済みます。
 「保全性」の高い人は、先の見えない状態にストレスを感じ、不安になります。ムッタも選抜試験の結果を待つ間、不安に押し潰されそうでした。とにかくゴミ情報でも何でも、情報を詰め込むことは、嫌なことを忘れさせてくれる隠れみのになったのです。

情報を集めるだけではただのゴミ。活用するには?

 手当たり次第に集められた情報は、そのままではゴミ同然、使い物になりません。
 では、「保全性」の情報収集癖は、隠れみのにしかならないのでしょうか?  いえいえ、正しく使えばものすごく強力な武器になります。

 情報は体系化することで、利用価値がグンと高まります。いわゆる「引き出しが多い人」は、たくさんの情報を体系化し、必要なときに必要な情報を使える人のことで、「優秀な人」と見なされます。

 そして「保全性」の高い人は、この「体系化」が得意なのです。

 体系化とは、「別々なものを系統的に統一していくこと」です。言い換えれば、インデックスの付いた情報が、ファイリングされている状態です。情報が体系化されていると、何かの刺激に対して関連する情報を引っ張り出しやすいのです。

 この能力は、勉強の仕方で強化されるといわれています。一つ学んだら、その周辺を学ぶ。そして関連づける。これを繰り返すことで、「大項目」「中項目」「小項目」と分類していきます。例えば、辞書で言葉を調べるときに、必ず関連する項目も読むと、この能力が鍛えられます。子どもの頃から読書好きで、整理好きな人は体系化が得意です。

 宇宙飛行士になって数々の困難を乗り越えるムッタですが、実は体系化した過去の情報が役に立っているのです。