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 ここはぜひ「拡散性」の高い方に分かっていただきたいのですが、「保全性」の高い人は、自分が逃げているとはサラサラ思っていないのです。情報を集めることで、少しずつでも着実に前進している、と、本人は信じています。

 なぜ、そんなに情報を集めたがるのでしょうか。

 その心理を、「保全性」が高い異色の主人公、『宇宙兄弟』(小山宙哉作)の南波六太(ムッタ)の行動から読み解いていきましょう。

情報をかき集めて“コロコロムッタ”になる

 『宇宙兄弟』は、異なる性格の日本人の兄弟が、それぞれの道で宇宙飛行士を目指す物語です。兄のムッタは「保全性」、弟の南波日々人(ヒビト)は、「拡散性」の特徴を持っています。

 JAXA(宇宙航空研究開発機構)の宇宙飛行士選抜の2次試験を終えたムッタ。審査結果を待つ間、すでに宇宙飛行士として活躍する弟のヒビトに誘われて、NASA(米航空宇宙局)の本拠地であるヒューストンに来ています。

 そこでムッタは、人づてにこんな話を耳にします。

 「上司への頭突き」が原因で彼が前職をクビになったことを、一部の審査員が問題にしている。そこで職員が前の会社に問い合わせたところ、ムッタの元上司が「南波君は宇宙飛行士には向いていない」と話した、というのです。

 それを聞いたムッタは、「もう100%落ちた」と勝手に思い込んで、落ち込みます。そして、そのことをヒビトに打ち明けることができません。

 そのとき、ムッタが取った行動は、新聞を読み、ラジオを聞き、テレビを見ながら食事する。いろんなものを同時に見たり聞いたりする、という芸当を見せるのです。

 ムッタは昔から、嫌なことがあると一心不乱に、実は大して興味のない、ゴミ情報やゴミ知識を集める癖がありました。

2巻#12「コロコロムッタ」

 こんなふうに。
 そんなムッタに母親が付けたあだ名が、「コロコロムッタ」。
 どういうことでしょうか?