「やりたい」思いを秘めている
最初の一歩が踏み出せない人は、自力で道を切り開こうとするより、自分の代わりに少しだけ扉を開いてくれる人を味方につけて、その人たちの力を借りながら進めばいい。それが、保全性が高い人の採るべき戦い方です。
例えば、普段から信頼できる上司に自分のやりたいことを伝えておきます。そうすれば、興味のあるプロジェクトに推薦してくれたり、進みたい方向に後押ししてくれたり、夢をかなえるきっかけをつくってくれるかもしれません。
そして、チャンスが巡ってきたら、迷わず乗っかることです。そこはやるしかありません。
付け加えると、保全性と拡散性に共通するのが、どちらも「好き/嫌い」「快/不快」「興味あり/興味なし」といった、「情動」が判断軸となる個性だ、ということです。
「好きだからやりたい」「興味があるからやりたい」と、情動がその人を突き動かすのは、どちらも一緒。そして、「やりたい」と判断してからの行動が異なります。「すぐやる」が拡散性、「着実にやりたい」が保全性です。
(ただし、日本人に最も多く見られる因子は受容性なので、まず「人を慮る」ことを考えて動いている人がほとんどです。東京オリンピック招致で語られた「おもてなし」こそ、日本人の基軸なのです。詳しくは連載で触れていきます)
保全性が高い人は、最初の一歩が踏み出せないからといって、「何かを成し遂げたい」という情熱がないわけではないのです。慎重すぎるあまり、すぐに行動に結びつきにくいだけで、「やりたい」思いは秘めています。拡散性が高い人がそこを理解すると、「慎重なだけでやる気がないわけではないのか」と、誤解が解け、チームの結束が固まります。
例えば、会議を開くとします。「お前、どう思うんだ?」と上司から意見を求められても、保全性が高い人は「正確に発言したい」とか、「皆の意見を聞いて参考にしたい」などと考える傾向があります。慎重になるあまり、なかなか自分の意見を言い出しにくいのです。メンバーがそこを理解していれば、うまく発言を引き出すことも、やる気に本格的に火をつけてあげることもできるでしょう。
保全性の高い人が心がけるとすれば、まずは、その思いに素直になること。そうすれば、周りの人が応援してくれるようになり、きっとチャンスも巡ってくるはずです。それでも悩んだときは「ムッタのトランペット」と唱えるのもいいかもしれませんね。
© Chuya Koyama/Kodansha (構成:前田 はるみ)
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