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(ここまで)1巻#2「 俺の金ピカ」
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 すぐに決めきれないし、決めようとすると不安が襲ってくることもあります。「念のため、全部確認したい」と思うのが、保全性の特徴です。

 そのうえで、「一番難しいから」という理由で、ムッタはトランペットを選びます。
 簡単に弾けそうな楽器ではなく、一番難しそうな楽器を選んだのです。

 なぜでしょうか。保全性は、知識やスキルを積み上げていくことを好む因子です。経験値の蓄積はその人の自信になり、さらに高みを目指す原動力になります。目標に到達するまで時間や努力を要しても、まったく平気なのです。

 ただし、難しそうなものを選ぶといっても、未知の領域に挑戦したいわけではありません。時間をかけて努力さえすれば手が届く範囲で、自分の経験値を最も高められそうなものを選びます。それがムッタの場合、トランペットだったのです。

 一歩を踏み出す場面では慎重で、なのに、一歩を踏み出すと決めたなら、どこまでも粘り強く、やりたいことを成し遂げようとします。

一歩が踏み出せない人は、どう戦えばいいのか

 保全性の高さ=慎重さは、生まれ持った個性です。

 くどいですが、拡散性と比較して、どちらが優れているとか、劣っているということではありません。

 行動力がある、というのは、経験や知識の積み重ねがまったくない未知の領域へ足を踏み入れることを「喜びとする」タイプともいえるでしょう。拡散性が高い人の行動力はそこから来ます。それを慎重派の人が形だけ真似しようとしても、自分を苦しめるだけです。

 では、保全性の高い人が未知の世界に飛び込み、夢をかなえるにはどうすればいいのでしょうか。

 保全性が高い人には、保全性ならではの戦い方があります。自力で道を切り開くのが苦手なら、周りの人の助けを借りればいいのです。

 ムッタの場合、再び宇宙飛行士を目指すきっかけをつくったのは、弟のヒビトでした。

 ヒビトは、幼い頃からムッタと夢を共有してきた、ムッタの一番の理解者です。ヒビトがムッタに内緒でJAXAに履歴書を送ったところ、書類選考を通過したのです。これでムッタが最初の一歩を踏み出すハードルはかなり低くなりました。自信を失ったムッタを動かすには、これくらい強引なお膳立てが必要だったのです。

1巻#1「 弟ヒビトと兄ムッタ」
1巻#1「 弟ヒビトと兄ムッタ」
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 もう一人、第二の母といえるシャロンの存在も大きなものでした。シャロンは、兄弟の個性の違いをよく理解し、挑戦に慎重になりがちなムッタの人生の節目ごとに彼を勇気づけ、背中を押してきました。

 ムッタは選択に悩むと、必ずシャロンのもとを訪れています。彼女に会うことで、勇気を得て、未知の世界に進むことができる。これが悩んだときのムッタのルーティンです。ちなみに、ルーティンを持つのは保全性の特徴です。不安なときに確認することで、また慣れていることを続けられるからです。

 JAXAの宇宙飛行士選抜試験を控え、ムッタは再びシャロンに会いに行きます。不安に襲われてまた逃げようとするムッタに、シャロンは音楽に例えてこんな言葉をかけるのです。

 「上手くなくてもいいし、間違ってもいいのよ。まずは音を出して。音を出さなきゃ、音楽は始まらないのよ」

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