ストレスがかかりすぎると、悪い面が出てくる

 FFS理論では、反応・行動は、その人にかかるストレス(これも因子によって原因が異なる)の量が適切かどうかに影響される、と考えます。つまり、ストレスが適切にかかっている状態では、反応・行動の「いい面」が出ますが、ストレスが大きすぎても、小さすぎても、反応・行動の「悪い面」が出ます。

 ストレスはまったくないほうがいい、というわけではなく、適度なストレスが必要です。ストレスとは、すなわち「刺激」です。人間が健康でいるためには、適度な刺激が必要なのです。

 その人の反応・行動の「悪い面」の予測も、南波さんを例に見てみましょう。

 南波六太さん(受容性・保全性・弁別性が高い人)が、ディストレス状態(ストレスが過小、もしくは過多な状態)に陥ると「介入的」「妥協的」「自己都合的」になる、と、FFSでは考えています。

 どういうことかと言うと、周囲に介入的になる、つまり「過剰なお節介」を焼こうとします。それでもストレスを減らせず、本人が「ないがしろにされている」と感じると、転じて自虐的になります。「どうせ私なんて、お役に立てないですから」と、周囲を気まずくさせ、閉じこもったり、自己都合的に動こうとしたりするのです。

FFSが組織・個人にもたらすメリット

 FFSは、自分自身にとっては「自分のいい面がいま出ているかどうか」「悪い面が出ているとしたら、何が原因なのか、どうすればよいのか」を判断する手がかりになります。

 また、対人関係では、相手が「悪意からこのようなことを言っている、されている」という誤解を解くツールとして有効です。チームマネジメントとしては、相手のいい面の反応・行動を引き出す伝え方、仕事の割り振りなどを考えることで、個人の力を引き出し結束を固めるために役立つ、と我々は考えています。

 本連載ではこれをケース別に追っていく予定ですが、分かりやすく、かつ「あるある」な例を挙げておきましょう。

 日本人に多い「保全性」が高い人が部下で、次に多い「拡散性」が高い人が上司の場合のやりとりです(正しく言うと「受容・保全」タイプの部下×「受容・拡散」タイプの上司、となります)。

 拡散性の高い上司は、新しい方向性を打ち出すことには長けていますが、細かい詰めや、日常的な運用は苦手です。

 一方、保全性の高い部下は、どう進めて行けばいいのか、ある程度先が見えていて、やるべきことも具体的な行動に落とし込まれている状態で、実力を発揮するタイプ。細かいところまで詰めてくれるし、抜け漏れなく運用もしてくれます。任せて安心で、本人も、それで「自由を獲得した」と感じられるのです。

 ところが拡散性の高い上司は、自分が文字通り「自由にやりたい」タイプなので、良かれと思って「任せる。君の自由にやっていいよ」といった指示を出しがち。これが保全性の高い部下からは、「雑な指示だ」「丸投げされた」と、不満や不安を感じさせてしまう恐れがあるのです。

 お互いが相手のタイプを知っていれば「あらかじめ話をしておかないと(させてもらわないと)行き違いが生まれそう」と気づいて、誤解やトラブルを避けられる可能性が高い、というわけです。詳しくは連載の中で『宇宙兄弟』を通して、ご紹介しましょう。

(連載記事はこちらから)

(構成:前田 はるみ)

この記事はシリーズ「「一歩踏み出せない」あなたをエースにする方法」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。