全10668文字
採用側の「見る目」は正しいのだろうか?(2巻#10侍&ピーナッツ)

 「自分の強みを正しく理解し、それを活かせる人(面接やエントリーシートでアピールできる人)が就職活動でうまくいく」とお伝えしてきました。

 就活では、理想の自分を求めるあまり、かえって自分の個性を殺してしまっている人も少なくありません。自分が本来持っているはずの強みを発揮するには、自分の個性を正しく認識することから始めましょう。ということです。

 では、採用する側はどうでしょう。
 企業の採用担当者は、面接や試験で学生ごとに異なる個性を見極めたうえで、採用の可否を判断しているのでしょうか。

 つまり、
 「この学生の強みは(弱みは)おそらくこういうところで、そこを伸ばす(補う)には、こういう部署が向いている」  というところまで、合っているかどうかは別にしても、考えているのだろうか、ということです。

 「もちろん、学生一人ひとりをちゃんと見て採用しているよ!」
 とおっしゃる採用担当者の方も多いでしょう。ですが、私が見るところ、学生の強みを正しく評価できている企業はそれほど多くはありません。

 なぜでしょうか。

 以前にも紹介しましたが、多くの企業では求める人材像として「コミュニケーション能力の高い人」「主体的に行動できる人」「チャレンジ精神のある人」「柔軟な人」「積極的な人」などの項目を挙げ、これらを基準にして、学生の能力や特性を見抜こうとしています。

 ここで問題なのは、「では、選考のための客観的な指標があるのでしょうか?」と聞くと、たいてい「そういうわけではなく、判定は面接官の主観によるところが大きい」という回答が返ってくることです。

 つまり、「面接官である私」から見て、「この学生はチャレンジ精神があるように感じた」。おそらく、そこで止まっているのが実態です。もちろん、当たる場合もあるでしょうけれど、「この学生はチャレンジ精神がある」と客観的な評価をしているわけではないのです。その証拠に、面接官が変われば、学生に対する評価も180度変わることは珍しくありません。 

不採用の理由は「理解できないから」

 また、採用面接では、「自分(面接官)と似ている人への評価は甘くなる」という傾向も指摘されています。

 自分と似ている相手のことは、理解しやすいため、評価も高くなります。反対に、理解しにくい相手の評価は低くなりやすいのです。思い込みや先入観によって判断がゆがめられる、社会心理学でいうところの「認知バイアス」です。

 こうした面接官の認知バイアスは、合否判定において考慮されているわけではありません。となると、面接官の主観によって合否が左右される不公平がどうしても生じます。

 となれば「学生一人ひとりの強みを客観的に評価している」とはとても言えません。

 しかも、今年はコロナ禍の影響で、面接が「リモート」になりました。採用側は画面越しで学生の人となりを評価するわけですから、「分かりにくい」相手を理解する難易度はさらに上がったはずです。学生側も、本当に自分のことを理解して合否の判断が下されたのか、大いに疑問だったようです。不満の声をたくさん聞きました。

 「自分(面接官)が理解しにくい相手は採用しない」という採用活動が続いていることは、実は大きな問題です。面接官にもよりますが、入社する人の幅が狭くなってしまうからです。

 コロナ禍によって、例年以上に多くの企業でこうした事態が起きていると考えられ、しかも、来年以降もおそらくこの状況が続きそうです。

 「そうはいっても人間だもの、他人のことはそんなには分からない」
 と、開き直りたくなるかもしれませんが、その気持ちをぐっと抑えて、来年の採用のために、以下をお読みください。

 さて、もう一度まとめておきましょう。面接官が理解しにくい相手とは、面接官と異なるタイプの学生です。面接官が学生の能力や特性を判断しようにも、自分とは異なるタイプなので「分からない」となり、「不採用」と判定してしまうのです。

 ここで言う「タイプ」とは、人柄、性格、能力などなどいろいろな言い方がありますが、連載でご紹介してきた「FFS理論(※)」に基づく5つの因子の高低、という視点で見ていきましょう。

※5つの因子とストレス状態から、その人が持つ潜在的な強みを客観的に把握することができる理論(開発者:小林 惠智博士)。詳しく知りたい方は書籍『宇宙兄弟とFFS理論が教えてくれる あなたの知らないあなたの強み【自己診断ID付き】』か、こちらをどうぞ。

 まず、どんなタイプの学生が、面接官に理解されずに「不採用」と判定されがちなのでしょうか。