決めるのが苦手なら、決められる人の力を借りよう
繰り返しになりますが、「受容性」の高い人にお伝えしたいのは、「受容性」の強みとストレッサーを通じた自己理解の重要性です。
つまり、「自分一人では合意を重視し過ぎるため、反対意見があると、押し切って決めることに抵抗を感じる」と自覚することです。
この認識が不足していると、自分の実力を勘違いし、「受容性」の本来の強みを活かす道が閉ざされてしまいます。
「決められない」のは、能力として劣っているのではなく、そういう個性なのです。
だから、それでいいのです。
「受容性」の意思決定の方法としては、丁寧な合意形成を心がけることが1つですが、もう1つの方法として、「決めるのが苦手なら、決めるのが得意な人の力を借りればいい」ということも覚えておいてください。
つまり、自分でなんとかしなくたっていいのです。そういうのが上手な人にやらせましょう。要はチームとして、組織として、「成果に導ければいい」と理解することが大切です。
あなたと異なる個性のメンバーは、それぞれに得意なことが違います。それぞれの得意や強みをかけ合わせて、一人では実現できないことを成し遂げるのが、チームの力です。
判断に困ったら、合理的に考えるのが得意な「弁別性」の高い人に聞きましょう。
決断できないときは、スバッと決められる「凝縮性」の高い人に任せましょう。
ありきたりでつまらないと思ったら、創造力の豊かな「拡散性」の高い人を動機づけて、アイデアを出してもらいましょう。
チーム運営を効率化したかったら、仕組みづくりの得意な「保全性」の高い人に手伝ってもらいましょう。
改めて自分の周りの人たちの顔を思い浮かべてみてください。もしかしたら、無意識のうちに彼らの力を借りて、物事がうまくいったケースもあるかもしれません。その視点を意識して、面接やエントリーシートで語るエピソードを組み立て直してみることもおすすめです。
これは「他人の強みを理解し、組織運営に役立てる」ということで、もしエピソードとしてその文脈で語れたら最強レベルです。社会人でもそこまで考えて動ける人はそういません(だからこそ、私は本を書いたわけですし、おかげさまで好評をいただいているわけです)。
そもそも仕事はチームで行うものですから、「仲間と協力しながら、チームで活躍できる」ことは、就活において最大のアピールポイントになるはずです。ということはやっぱり「受容性が高い」ことは、日本の企業の就活には相当有利なんですよね。
© Chuya Koyama/Kodansha(構成:前田 はるみ)
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