受容性の武器は「皆の合意に基づく」意思決定
「受容性」の高い人の強みは、「相手の良い面を理解しながら、合意を引き出せる」ことです。
どういうことかというと、仮にチーム内で対立が起きたなら、時間をかけて一人ひとりと会話をすることで、対立を解消し、皆が同じ方向に向くように働きかける、ということです。相手の話を聞きながら、丁寧な説明を繰り返し、皆から納得を引き出すことができれば、物事は自然と決まります。
「受容性」の高い人は「誰かの意見を採用し、誰かの意見を切り捨てる」という「厳しさ」を、無理に自分に課す必要はありません。
「皆の合意を引き出すことに注力することができる」。これが、自分の強みであり、自分の意思決定のスタイルだ、と理解することが大切です。
そうなると、「受容性」の高い就活生が面接やエントリーシートで自分のリーダーシップを語る際のポイントが見えてきます。
「二律背反の状況」を明示した上で、「合意形成のプロセス」を重視してエピソードを組み立ててみるといいでしょう。ポイントとなるのは、「時間をかけることを苦にせず、一人ひとりの合意を引き出し、その危機を乗り越えようとした」という点です。
結果が失敗に終わったとしてもかまいません。合意形成のプロセスを丁寧に回そうとした末の失敗ならば、語れるエピソードになります。さらに、「組織を一つにするために、相手の真意を理解し、こちらの意図を伝えることが必要だと痛感して、コミュニケーション能力を鍛えました」と言えれば、「自分の強みを理解しつつ、自ら伸ばしていける人材」として、面接官に好ましく映ることでしょう。
これも繰り返しになりますが、面接で見られているのは、その学生が「どんな強み」を持っているか、よりも、「自分の強み」を理解しているか、それを伸ばす努力をしてきたか、なのです(そしてもし、あなたの「強み」を必要としていない会社ならば、入らないほうがいいですよね)。
「受容性」の強みを活かした意思決定として参考になるのは、『宇宙兄弟』の主人公、南波六太(ムッタ)がチームに提案した「ジャンケンで決める」という決め方です。
「受容性」の高いムッタは、決断が苦手です。
ジャンケンという手法だけ見れば「ダメな意思決定の典型」と言えますが、ムッタがなぜジャンケンを提案したのかを見ていくと、「受容性」の高い人ならではの意思決定の形であることが分かります。
具体的にムッタがどんな利益相反に悩まされていたのか、については、こちらの回をご覧ください。書籍にも加筆して収録しています。
→「『決められない』のは立派な個性であり武器である」
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