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勉強に興味を持つまでの南波日々人(ヒビト)は、どうしようもない落第生だった。2巻#9「足りない日々」

 前回(あなたの「ガクチカ」には無理がある)、前々回(「就活で苦戦する学生は「強み」を勘違いしている」)と、「保全性」の高い方への就活アドバイスとして、「拡散性の高い人のリーダーシップに憧れるな」「拡散性の行動力をマネる必要はない」とお伝えしてきました。

 「保全性」の高い人は、「何事にも慎重で、最初の一歩を踏み出しにくい」という特性を持ち、日本人の約6割を占めます。就活に悩んでいる人の多くが「保全性」の高い人である、というのが、FFS理論による人材活性支援に長年携わってきた私の実感です。

 では、「保全性」とは対照的な特性を持つ、「拡散性」の高い人の就活は順調なのかといえば、そうとも限りません。

 「拡散性」の高い人は、「興味があればすぐに行動に移す」という傾向があります。この個性は日本では少数派で、多くの企業が欲しがる人材に合致しやすいのですが、皆がうまくいっているわけではないのです。

 拙著『宇宙兄弟とFFS理論が教えてくれる あなたの知らないあなたの強み』でも書きましたが、個性分析の理論であるFFS理論(開発者:小林 惠智博士、詳しくはこちら)では、個性に優劣はないと考えます。つまり、「この個性だから成功する」とか、「この個性だからうまくいかない」というものではないのです。

 では、成功するには何が必要かといえば、「自分の特性を理解し、強みを活かし、弱みは他者と補い合う」ことです。これができる人が、人生において成功します。これは就活でも同じです。

 行動力があり、強いリーダーシップの素質を持つ「拡散性」の高い人であっても、自己理解が不足し、自分の強みを活かせない人は就活で挫折するでしょう。

 今回は、「拡散性」の高い人(「保全性」の因子よりも「拡散性」の因子が強い人)が就活で希望する会社に出会い、社会人としての第一歩を踏み出すために大切なことを考えてみたいと思います。

●「拡散性」「保全性」の高い人の個性について、すぐに知りたい方はこちらを。詳しい自己診断は書籍に付属するアクセスコードをご利用ください。

「拡散性」の高い人→「『興味ないんで』と言い放つ部下をどうしよう

「保全性」の高い人→「『果敢に飛び込んでいく人』を羨む必要はない

 まず、「拡散性」の高い人の特徴をおさらいしておきます。これらの特徴は、ポジティブな状態で発揮されれば、強みとなります。

特徴がネガティブに出ると「絶対採用したくない学生」に

(特徴)→(特徴が強みとして発揮された場合の評価)
  • 面白いと思ったら、すぐにやってみる→果断さ、行動力がある
  • 前例を破り、枠組みを飛び越える  →変革とその推進ができる
  • 発想が飛躍する          →創造的なアイデアを生むことができる
  • 執着しない            →既成概念にとらわれず、自在である

 こうして整理すると、「現代の多くの企業が求めている人材像」に合致することばかりです。

 ところが本人が未熟な場合は、こうした因子の特徴が裏目に出ることがあります。

(特徴)→(特徴が裏目に出た場合の評価)
  • 面白いと思ったら、すぐにやってみる→行き当たりばったり、衝動的
  • 前例を破り、枠組みを飛び越える  →組織的行動ができない、内部から破壊行動に出る
  • 発想が飛躍する          →話に脈絡がない、ロジカルさがない、落ち着きがない
  • 執着しない            →飽きっぽい、地に足がつかない

 いかがでしょうか。先ほどと比べると評価が逆転して、絶対に採用したくない人材に思えてきませんか?

 「拡散性」の高い人は、「人とは違うこと、自分にしかできないことをやりたい」という思いが強く、「オンリーワン」の存在でいることを望みます。潜在的に「ユニークな存在」になり得る特徴を持っているにもかかわらず、本人の未熟さが露呈すると、組織では活躍しづらい人、会社員に向かないヤツ、と評価されてしまうのです。