

今回も就活支援の特別編です。前回は、日本人の多数派である「保全性」の高い就活生が、面接やエントリーシートで好んでアピールする「学生時代に力を入れたこと」に、「海外留学」「NPOやNGOでのボランティア活動」「体育会系の部活動やサークルでの役職経験」がある、という話をしました(私はこれら3つを「保全就活生の三種の神器」と呼んでいます)。
「学生時代に力を入れたこと」を、最近は「ガクチカ」と言うそうです。
(私の世代だと「学生の地下活動? 社会革命か?」となりそうですが……)
そのガクチカの中から、今回は「学生時代の役職経験」を取り上げて、「保全性」の高い学生が自身のリーダーシップについてどのようにプレゼンするとよいかを考えてみます。
「私には役職を務めた経験がない」
「そんなキラキラとしたエピソードがある人が羨ましい」
と思っている方にも、ぜひ読み進めていただきたいです。
なぜなら、役職という分かりやすい肩書だけが、その人のリーダーシップを表すものではないからです。
あなたの何気ない言動の中に、「保全性」ならではのリーダーシップが発揮されているかもしれません。
FFS理論(開発者:小林惠智博士、詳しくはこちら)では、その人の個性によってリーダーシップの発揮の仕方はさまざま、と考えます。人の個性を構成する5つの因子のうち、高い数値を示す因子が違えば、その人にふさわしいリーダー像も違います。
個性を活かしたリーダーシップのあり方については、拙著『宇宙兄弟とFFS理論が教えてくれる あなたの知らないあなたの強み』にも詳しく書きましたので、ぜひそちらもお読みいただければと思います。また、本書を購入いただいた方は、読者特典として、自分の個性を知るためのFFS診断(宇宙兄弟バージョン)を受けていただくことができます。自分の強みを再発見するためのヒントにしていただけたら幸いです。
「保全性」の高い人の強みについては、こちらもご参考に:「『果敢に飛び込んでいく人』を羨む必要はない」
「強いリーダーシップ」には向き不向きがある
「私は大学のサークルで部長を務めていました」
このように自己紹介できたら、「リーダーシップを備えた学生」であることをアピールできそうな気がしますよね。ところが……。
「そのときあなたは、どんなリーダーシップを発揮しましたか?」
と、面接官に尋ねられて、「部長だったのは確かだけど、グイグイとみんなを引っ張ったわけではないし……」と、言葉を詰まらせてしまう。そんな記憶はないでしょうか。
「保全性」の高い人の場合、リーダーになった、という実績や経験はあっても、“自分の”リーダーシップについて自信を持って語れない人が多いようです。つまり、サークルなどでの役職経験を、うまく自分の強みにつなげて伝えることができていないのです。
ここに、「保全性」の高い学生が陥りやすい落とし穴があります。それは「リーダーシップ」についての思い込みです。
「リーダーシップを持つ人」と聞くと、「決断できる」「メンタルが強い」とか、「メンバーを率いて、高い壁を乗り越えていく」といった姿を思い浮かべる人が多いようです。カリスマ性があって、率先垂範の、強いリーダーシップです。
しかし、これは「保全性」の高い人が得意とするスタイルではありません。
なぜなら、「保全性」の高い人は、「物事を確実に進めたい」、つまり「失敗したくない」という気持ちが強いために、周囲からどう見られるかをすごく気にします。周囲と協調関係を保ち、平穏で安心できる環境を望みます。
そのため、反論を押し切って決断したり、先頭に立って切り込んだりすることが苦手なのです(これは決して「欠点」ではありません)。
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