なんだか揶揄するような言い方になってしまいましたが、留学もNPOも自治会も「保全性」が高い人がやることは大賛成ですし、何も問題はありません。

 気を付けなくてはいけないのは、例えば「海外留学」一つとっても、「拡散性」の高い人と、「保全性」の高い人とでは、「語るべき内容が異なる」ということです。

 「拡散性」の高い人が語るとしたら、恐らくこうなります。

 「興味があったので、何の準備もせずに、とにかく現地に飛びました。行ってみたら想像と違うことや、失敗やトラブルも多かったのですが、その都度『こうやったらどうだろう』と、仮説・検証を繰り返しながら学んでいきました。偶然、現地の大学に講演に来ていた教授に心酔して、途中からその人の下で学ぶため、大学を変わりました。そうしたら、一緒に起業しないかと誘いが……」

 「こいつはどこまで転がっていくんだ」と思わせる行動力、積極性などが「拡散性」の強みです。

 「保全性」の高い人も、「派手なエピソードを手に入れた」という意識から、同じようにやってしまうかもしれません。

 留学の手配を業者に頼んだとか、NPOは実は先輩から運営を受け継いだとか、積み重ねの部分を隠して、すべて自分でゼロからやってのけたような言い方を、ついしたくなるものです。

評価されるのは「ゼロからやりました」だけではない

 でも、そこが罠です。
 面接官は「風呂敷を広げる」学生に敏感です。
 「話を盛っているな」と思われたら、発言を素直に受け止めてもらえる可能性が大きく下がります。

 「どうやってその国を留学先に選んだの」
 「NPOはどうやって設立したの」
 といった面接での問いに、「ゼロからやりました」と、「拡散性っぽい」答えを返したくなるかもしれませんが、あなたの取るべき手は、「真実を話す」の一択です。
 ただし、それでもちゃんとあなたの強みが伝わる言い方はあります。

 「保全性」の高い人が、自分の強みをアピールしようとするなら、こうなるでしょう。

 「ネットはもちろんですが、大使館に行ったり、実際に行った人から話を聞いたりして、しっかり準備して現地に向かいました。最初は英語での授業に慣れなくて苦労しましたが、言葉のハンディがある分、ネイティブの学生の2倍以上の時間を予習にかけて授業に臨み、テスト勉強のときはさらに時間をかけました。その結果、クラスでトップの成績を取ることができました」

 あなたが伝えるべきは、「行動の大胆さ」ではなく「周到な準備を惜しまない」姿勢です。

 リスクを踏まえ、一見無駄になりそうなことでも時間をしっかりかけて、想定できる範囲で確実に取り組むことで物事を成し遂げる、「保全性」の強みが伝わります。

(これはすなわち、「保全性」の高い人が就活のために行動するならば「準備」に時間を惜しまないことが最も有効だ、ということでもあります。最大の武器なのでもしそこに手を抜くと、戦いはなかなか厳しいことになるでしょう)

 「保全性」が高い人がESや面接で「強み」を生かすための心得を、もう少し具体的に言いましょう。

 ポイントは、事実ベースで1つのエピソードを掘り下げながら、「なぜそう行動したのか」「考えた背景は何か」「成功体験・失敗を通じて学んだこと」を伝えることです。それが、「準備と積み重ねに強い、という、自分の強みを自覚している」ことのアピールになります。

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