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15巻 #160「オリガ」

 大変ご無沙汰しておりました。ヒューマンロジック研究所の古野です。

 本連載「『一歩踏み出せない』あなたをエースにする方法」を単行本化すべく、新規原稿の作成と連載原稿への加筆修正、さらに、書籍用と、購読者の方限定のFFS診断宇宙兄弟バージョンの制作、などなどを進めておりましたが、このほどようやく刊行の運びとなりました。

 タイトルは『宇宙兄弟とFFS理論が教えてくれる あなたの知らないあなたの強み』です。

 本書は、FFS理論(開発者 小林惠智博士、詳しくはこちら)を用いて自己診断を行い、その結果を、人気コミック『宇宙兄弟』(小山宙哉作、講談社)の中の、自分と似た特徴を持つ登場人物の行動をマンガを通して読み解くことで、自分自身がなかなか気づけない「強み」、そして「弱点」を知ることができる内容になっています。

 さらに、単なる性格分析にとどまらず、「上司」と「部下」の関係性、さらに「チーム」を組んだ際に、誤解しやすい/されやすいポイントをFFS理論のロジックとマンガの具体例で紹介しています。本書を読んでいただくことで、会社内で自分や部下、あるいは上司をも「戦力化」する手がかりを得ていただくことができる、と自負しています。そもそも、「宇宙兄弟」の初代編集者にしてコルク代表の佐渡島庸平さんが、自分の会社にFFS理論を採用して効果を上げたことが、このプロジェクトのきっかけでもあります。

 もちろん、登場人物の診断は我々が勝手に決めつけたものではなく、「宇宙兄弟」の作者、小山宙哉さんに監修していただいています。さらに言えば、私と、ライターの前田はるみさんは、このコミックの熱烈な読者でもあります。実は、ビジネス書の体でありながら、「宇宙兄弟」というマンガの面白さ――すなわち、連載を追うだけでは気づきにくい伏線の緻密さ、テーマの深さ、登場人物のリアリティを“布教”することも、狙いに含まれていたりします(笑)。ファンの方に読んでいただいても、恥ずかしくない本に仕上げたつもりです。

目指すは「猛獣使い」

 さて、本書では第3章で「日本人が目指すべきリーダー像」について触れています。

 チームを引っ張る実力と権威を兼ね備えた欧米型のリーダーは、実はFFS理論でいう「保全性」「受容性」が高い人が多くを占める日本人には向いていないのではないか、と我々は考えています(ちなみに欧米人に多いのは「凝縮性」「拡散性」です)。

 ※FFS理論は、ストレスの要因となるものの違いから、人の個性を構成する5つの因子(「凝縮性」「受容性」「弁別性」「拡散性」「保全性」)を特定し、その高さと順番からその人の強み、弱みを分析します。詳しくは先ほどの連載バックナンバーのリンク、そして書籍をお読みください。

 「受容性」「保全性」が高い、多くの日本人が目指すべきなのは、いわば「受容・保全」タイプのリーダーであり、「宇宙兄弟」の中でいうならば……という主張を、書籍の中でさせていただきました。

 「受容・保全」タイプのリーダーは、能力はあるのに個性が強いゆえに組織になじめずにいるメンバーを、理解し、力を引き出し、チームに欠かせない人にしていくことができます。言ってみれば「猛獣使い」。それが、日本人型のリーダーのひとつの理想像ではないかと思うのです。

 「猛獣使い」は、言葉としてはよろしくないですが、理解し、力を振るってもらう方法、と考えてください。

出会う確率が最も高い“猛獣”は?

 連載をお読みの方はお分かりの通り、異なる因子が高い人同士は、お互いの反応を見誤ってしまいやすく、なかなか相手の真意が理解できません。

 日本人の多数派は「保全性」「受容性」が高い人ですから、組織の中で、“猛獣”扱いされるのはそれ以外の因子が高い人、ということになります。つまり残りの3つ、「拡散性」「凝縮性」「弁別性」ですね。「あいつは変人だ」「正論ばかり言う」「冷たい」などと言われているであろう人々です。

 彼ら彼女らとどう付き合えば、信頼してもらい、能力を引き出せるのでしょうか。

 日本人には「凝縮性」「弁別性」が高い人はかなり少ないので、一番出会う確率が高い「拡散性」が高い人について、ここで掘り下げておきましょう。

 「拡散性」が高い人が組織の中でその特性を発揮すると「自分勝手に動く」「ルールを無視する」「協調性がない」などなど、いわゆる「チームの和を乱す身勝手な人」と見られがちです。おそらくですが、あなたの職場にも1人や2人はいるのではないでしょうか。