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同意のプロセスを丁寧に回そう

 「受容性」が高く優秀と言われるリーダーは、同意のプロセスをきちんと経て、皆が同じ方向を向くことに注力します。そのプロセスは、非常に丁寧です。

 某企業に勤めるHさん。第一因子は受容性で、しかも数値がかなり高い人です。

 長年営業部門にいてマネジメント層になっていました。数年前に人事部門の責任者として異動しました。当時、現場側の立場から「現場を知らずに落とし込む人材育成プランはピントがズレている」と不満を持っていたのです。しかも人事に関しては素人だったこともあり、自ら外部に出向いたり、本を読んで勉強しつつ、人事部門のベテランには質問をし続けて学びました。

 その頃、昔の同僚である営業マネジャーに話を聞くと、「人事に対する不満」が多数寄せられたこともあり、次の行動に移していきました。

 ある程度理解が進んだ頃、人事部門の若手を交えて〝自分が学んだことを皆で共有するための勉強会〟を開催し、知識レベルを合わせます。その上で、勉強会では現場で発生している課題を一つひとつケースとして議論するのです。もちろん現場で困っている当事者(マネジャー)を呼んで、一人ひとりへの対応法を具体化していきました。疑問が払拭されないマネジャーには、現場まで出かけて一緒になって部下育成を指南したのです。

 Hさんは決して、“強く指導”したり、“決まりだから”と押し付けたり、“通達のみ”のドライな対応をしたりしませんでした。

 成功事例が噂となり、現場のマネジャーから人事に相談が来るようになりました。それを一つひとつHさんを中心に人事部員たちは丁寧に対応し続けたのです。現場のマネジャーたちから、人事施策に対する同意を得られたことで、その後、多くの施策がスムーズに動くようになりました。

 「受容性」の高い人は、丁寧さを武器にしましょう。異論を切り捨てるのではなく、会話を重ね、同意を得るプロセスを回した結果、自然に全員が納得できるプランに昇華できれば、何も切り捨てなくていいので、気持ちもラクです。

 その結果、one teamとして動けるのならば、素晴らしい意思決定となります。

09_5巻 #40「久しぶりの空」

 同意のプロセスを経たジャンケンの結果は、全員の笑顔でした。ぜひ、単行本で見てくださいね。

© Chuya Koyama/Kodansha
(構成:前田 はるみ