受容性の「リーダー体験」は、面接でボロが出やすい

 別の言い方をすると、「リーダー経験について面接でツッコまれると、ボロが出てしまって、自分の魅力をアピールするどころか、逆に墓穴を掘ってしまうことがある」のです。

 そうならないためには、まず、ご自身の特性や強みを正しく理解したうえで、なぜ自分がリーダーになれたのか、そしてどう振る舞ったのかを、面接官に正しく伝える必要があります。

 そもそも、なぜ、「受容性」の高い人には「リーダー経験」が多いのでしょうか。
 それは、「受容性」の特性である「面倒見の良さ」が大きく関係しています。

 「受容性」の高い人は、相手のことを思って、その人の望みをかなえてあげることに最大の喜びを感じる傾向があります。それゆえ、周りの人に対して細かく気配りしながら動くことができるので、周りから慕われます。いわゆる「優しくて、面倒見のいいリーダー」になれるのです。

面倒見の良さは「受容性」の高い人の強み、だけど……

 絵名の魅力も、まず、そういうところに表れていると思います。

 彼女には、歳の離れた妹(ケイ)がいて、「(将来)何になりたいとか……よく分からないよ」と絵名に悩みを打ち明けます。すると、絵名は妹の言葉をしっかりと受け止めてから、「じゃぁ、『できるようになりたい事』……ならどうよ?」「時間も忘れて続けられるようなものが1コでも見つかればいいよね」と言葉をかけるのです。姉として妹を見守りながらも、妹の自主性を尊重して、そっと背中を押すようなサポートの仕方は、「受容性」の高いリーダーが得意とするところでしょう。

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23巻 #221「かがやく姉のヘアピンと」
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 一方で、その優しさが裏目に出ると、「決められない」という事態を招いてしまいます。例えば、チームの方針を決める場面で、いろんな意見やアイデアが出た場合に、「受容性」の高いリーダーは一つに決めることが苦手です。

 なぜか?
 「皆のアイデアを実現してあげたい」という気持ちが強いために、誰かの意見を採用して、誰かの意見を却下することができないのです。

 もちろん、「受容性」の高い人も、頭では「選択」とはそういうこと(誰かの希望をかなえないこと)だと理解はしています。しかし、それを実行に移す(=絞り込む)ことは苦手です。「あれは良い」「これもいい」「彼のアイデアは活かしたい」となって、「選択できない」のです。

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